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逆さまに落ちていた
気がついたときにはもう随分と深いところまで堕ちてしまっていた

真っ暗闇の中、必至に手を伸ばし藻掻くも虚しく空を切るだけだった
暴れる俺に闇は強引にでも引きずり込むように何かが身体を這ってきた
ドス黒くヌメりどろどろとしたモノ、それは『戻さない、一生帰さない』と身体に絡みついてくる

あまりの気持ち悪さに吐き気をおぼえた

今更後悔したところで助けてくれるような人はもう居ない

約束通りこれから先は
身も心も闇に侵食されていくしかないのだ


『逆さま』2023,12,07

12/7/2023, 12:42:11 AM