引退や解散
ふとした瞬間にもう活動していないんだと思い出してはさびしくなる
『大切なものほど失ってから気づく』とはよく言ったものだ
日常に当たり前にあった存在がひとつ失くなるだけでこんなにもつまらなくなるとは
『喪失感』2023,09,11
心臓の鼓動がとまらない限り生きることは続くのだろうか
止める方法……
思いつくかぎりでは苦しさや痛みを伴うものばかりだ
『胸の鼓動』2023,09,09
電柱にとまっていたカラスが突然一斉に鳴き同じ方向へと羽ばたいていった。
静かだった鴉たちが、まるで何かを察知したかのようなその様子を不気味に感じる。
何時もとは違う空気に違和感を覚えながらも、そのまま歩いていると街ゆく人の会話が聞こえてきた。
「あーまたはじまったな」
「今日は何処だ」
「荒れるなぁ」
どうやら、その異様な光景は、この街では当たり前のこととして扱われていた。そして『またか……』という反応が大半だった。
「嬢ちゃん、はじめて見る顔だな。越してきたばかりか?」
「はい……」
突然、男の人から声をかけられた。そのひとは40代くらいだろうか渋く厳つい雰囲気をしていた。
「あの……、なにかあるんですか?」
「勘がいいな。―――だよ」
「っ……」
さりげなく耳元で囁かれた言葉は外では口に出せないようなものだった。
「気ィつけろ」
「気をつけろって言ったて、どうしたら……。急に言われても」
「だから、カラスが合図だ」
「今日みたいな日はすぐ家に帰れ。怪しいと感じたら勘を信じろ」
力の籠った声に静かに頷くことしか出来なかった。
「その制服、良いとこの学校だろ。巻き込まれんようにしろよ」
ただそう言い残し去っていった。
大人な所作に少しドキドキしつつも、私は早足で家路についた。
『時を告げる』2023,09,07
『そんな些細なこと考えたって無駄、無駄』
だいたいの人は笑ってそう言う。
けど私にはそれが些細なことだと思えたことはなかった。
人と話した後はいつもそうだ。
1人になった瞬間、さっきまで話していた相手の顔、声色を思い出してしまってはあたまの中でグルグルと考えてしまう。
気にしないようにしても目や耳が勝手に一挙手一投足を感じ取り頭に記憶してしまいやめることもできない。
だから急に声色がかわるとドキッとして怖くなる。
相手の本心なんて分からない、けど気分を害させてしまったのだろうと。
本人はそんなこと1ミリも思っていなくても自己嫌悪が襲ってくる。
それは推しにも発動してしまい、要らない体力を使ってしまう。
画面やイヤホン越しでも、特にイラつきに敏感に反応してしまいハラハラドキドキして音量を下げてしまう。
大丈夫だとわかっていても気になってしまう、この気持ちを感覚を理解してくれるひとはいるのだろうか。
『些細なことでも』2023,09,03
何気ない一言。
けど、その何気ない一言がぼくの心に火を灯した。
この火が消えない限りぼくは諦めないよ。
いつ消えるかなんて分からない。もしかしたら急に消えるかもしれないし、ぜんぜん消えないかもしれない。
けど、火が灯り続けるかぎりは精一杯生きて、生きて生き抜いてやる。
『心の灯火』2023,09,03