NoName

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9/2/2023, 8:57:49 AM

僕のLINEアプリには常に1がついている

それは君がくれた最後のメッセージ

某遊園地で撮った笑顔のアイコンの隣、『いってくるね✈』の文字

その横には青白く『1』という数字がポツンと光っている

開かないんじゃない、開けないんだ

触った瞬間、なにもかも終わってしまいそうで

もうこの世界にいないのだと実感したくなくて

あの日のNEWSを受け入れたくなくて

送っても、もう既読すらつかない現実を突きつけられたくなくて

本当は、今もどこか遠い国で暮らしていて、『なに暗い顔しちゃって、死んじゃったとでも思った?』って急に僕の前に現れてよ

込み上げてくる涙を堪えようと顔をあげる
夜空を見上げると飛び立っていく飛行機がみえた

「っ……、…………ぅっ……っ」

一年前の今日、ぽっかりと空いてしまった心から、泣けなかった一年分の涙が溢れてきた


『開けないLINE』2023,09,02

9/1/2023, 9:28:48 AM


常に誰かと比べられては蔑まれる日々

がんばっているのに

何が足りない

どこがいけない

だれかおしえてよ


完全な君と不完全な僕

同じ生命体

何が違う


『不完全な僕』2023,09,01

8/30/2023, 1:29:32 PM


「試してみますか?」

(この匂い……)

夜になってもまだ、手首に残る香水の匂いに思わず
顔を近づけ息を吸う

『香水』
ただの香りのはずなのに
身につける人が違うだけでこうも変わるのか
忘れたくても頭から消せない
匂いだけであの人を思い出してしまう

あの日が蘇ってくる
哀しいくらい覚えている
忘れることなんて出来なかった
声、素肌、伝う汗、体温
香水と混じった君の匂いを

もう戻ることない関係に思いを馳せる

『香水』2023,08,30

8/29/2023, 1:48:16 PM

『アイドルなんて無理だ』
そう言われ、家を飛び出て早数年

いまや、アリーナでツアーが出来るほどに人気になっていった
そして、いわゆる地方と呼ばれる僕の地元でも初めて公演が組まれた

あの日から、家族には連絡も近況報告も一切して来なかった
まだ小さかった妹は、お兄ちゃんが突然居なくなってどう思っただろうか

そんな事を思い出したりしながら
刻一刻と開演の時間は進んでいく

公演の幕が上がる

《みんなを笑顔に》をモットーに歌って踊っていたとき、ふと目にはいった光景に
『嘘だろ』
思わず、心の中で声がでていた

そこに居たのは紛れもない家族だった
いわゆる、関係者席でも無い、一般席に

メンバーやマネージャーさんに「せっかくだし、関係者席用のチケット送ってあげたら?」と言われたりもしたが、頑なに送らなかったのだ

だから一般でチケットをとったのだろう
応募しても当たるか分からないのに

特に親なんて絶対に来るわけない、そう思っていたから

だからステージの上から見つけた時、一瞬、時が止まったかと思った
外周でのパフォーマンス時には更にハッキリと見えた


妹の手に握られていた団扇には思わず苦笑いが出た
(そこはお兄ちゃんじゃないのかよ……)
どうやら妹の"推し"とやらは自分じゃないらしい

まぁ、楽しんでくれたら、笑顔になってくれれば、それでだけでいい
SHOWはまだまだ始まったばかりだ
最後には僕の方へ振り向かせてやる

いまさら言葉なんかいらないから
ただ、僕のことをみていて
舞台(ステージ)の上で輝く、ぼくを


『言葉はいらない、ただ・・・』2023 ,08,30

8/28/2023, 11:10:19 AM

『突然の君の訪問』0828

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