高校の体育のプール授業で
25メートルをクロールで泳ぐ
というテストがあった
わたしは、果敢にも
息継ぎなしでチャレンジしたが
あえなく15メートル付近でリタイヤ
めでたく補講となった
補講では
先生に息継ぎするよう言われ
1、2、3、顔だして息吸う
1、2、3、顔だして息吸う
1、2、3、顔だして息…吸えず
苦しくなって立つことを繰り返していた
プールサイドでわたしの練習を見ていた先生は
苦笑いして言った
「水中で息吐かないと
そりゃ息吸えなくなるでしょ」
なんですと!?
わたしは息を吸った後
息をとめてまた吸うという
もうこれ以上肺に空気入りませんよー
という、恐ろしい苦行をしていたのだった
苦しいはずだ
わたしは、なんとか息を吐くことを覚え
追試をクリアしたのだった
子どもは2歳ころまで
生まれた時の記憶がある
という話を聞き
わたしは子どもたち全員に
2歳ころになると
生まれた時のことを聞いた
しかし
正しく話をしてくれたのは
上のむすめだけだった
緊急帝王切開で産まれたむすめ
「まっくらだったのー
そこでね、こうやってまるまってたー
でもだんだんくるしくなって
そしたらきゅうにぱあってあかるくなってね
らくになったのー」
陣痛が強くなっても
臍の緒が首に絡まっていて
でてこれず
あやうく仮死になりかけていたのだ
すごい!胎児の記憶!
わたしはとても感動した
ちなみに
2番目のむすめは壮大な出産物語を語り
下のむすこにはそっけなく知らない
と言われたのだった…
2番目のむすめが
幼稚園から帰ってくるなり
「くさったもも、ある?」
と、言ってきた
そんなもの常備しているわけもなく
なにするのかと思えば
「カクレモモジリつかまえにいく!」
と、友達と約束したらしい
当時、こびとづかんが流行していたので
そんな話しになったのだろう
むすめには
腐った桃ではなく、熟した桃だよ
と訂正しておいた
桃はなかったので
その話しは終わったと思っていたのだが
小学校から帰ってきた上のむすめによると
公園の草むらの中に
うずくまる幼稚園児2人が
「こわくないよー、でておいでー」
と木の枝を持ってささやく
怪しい姿が目撃されたらしい…
桃がなくてもなんとかなる!
どんなことも叶う
無敵でしあわせな世界
小学校には
グラウンドのまわりをぐるっと囲むように
ポプラの木が植えられていた
ポプラの大きな葉でできる日陰
そこからときどきさす日差しのあたたかさ
わたしたち小学生にとって
そこは放課後の遊び場だった
クラスの女子何人かで
大きなポプラの木の下を探しまわり
陽も傾きかけるころ
集まって頭をつきあわせ
てのひらの中にある
集めた毛虫の数を競っていた…
もちろん
二桁捕まえたわたしが優勝です
2番目のむすめが
カタカナをおぼえたころ
折り紙の裏に
なにかを書いておりたたみ
「おてがみだよ、よんでー」
と、渡された
おそらく
カタカナ書いたよ、すごいでしょ
と自慢したかったのだろう
なかなかの達筆で
読み解くのに時間を要していると
「くだもののなまえかいたー」
と、ヒントをいただけた
なるほど…
頑張って読んだ結果書かれていた文字は
パイソ
ババナ
キャウイィー
何ひとつ正解はなかったのだった…