【早く帰ろうクリスマス】
いつもカフェのドアを開けたら
いらっしゃいませ
とトナカイカチューシャをつけたいつもの店員さん
お気に入りのカウンター席に椅子はなく
かわりにクリスマスケーキを受け取りにきた人の列があった
それで
あっ 今日クリスマスだった…
とやっと気がついて
またきますね
とドアを閉める
キラキラと華やかで、賑やかで、それはそれは幸せそうで
でも、忙しそうでもあり、慌ただしくもあり
落ち着かない
いろんなものが混ざる夜
なんだか疲れた
早く帰ろう 早く帰ろう_
お題;クリスマスの過ごし方
この、
大きな広い空へ飛び立てよ!
本当の自由を掴みとるために!
#大空
【雪を待っている】
鈍色の雲がゆく
空を見上げて待っている
今日も来ないかもしれないけれど
待っている
雪となったあの人が
空から帰ってくるのを
待っている_
お題;雪を待つ
【愛を注いでください】
冬の夜の冷たいにわか雨
ぐっしょりとした濡れ落ち葉を踏みしめながらゆく傘のない帰り道
惨めさを引きずって帰宅
シャワーを浴びて少しだけ人心地がついたら
グラスにワインを注ぐ
だけど、
注いでも注いでもなんだか満たされなくて…
そんな風に自分を持て余していると
雨上がりの雲越しにぼんやりと光る今夜の月と目が合った
お月さま、私のグラスに愛を注いでくれませんか?
夜空に向かって絡みながらもう一本ワインの栓を抜くと
月は困ったように雲に隠れてしまっていた_
お題;愛を注いで
【真夜中の本音】
ベランダで一服していると
真夜中の月が寄り添う金星にさよならを告げていた
ありがとう、ごめんね
「ごめんね」を付け加えられて金星は余計に途方に暮れている
でも、それでも寄り添う金星の困惑混じりの輝きは美しい…
そんなヤツは思い切り蹴飛ばしてさっさと離れてしまえばいいのにさっ!
私はタバコの煙を吐き捨てるように月に吹きかけた
時がくれば離れてしまうけど、また寄り添う彼らがうらやましくて_
#ありがとう、ごめんね