【脱力ラッキー🍀】
今日こそ伝えなければ...
と、拳を力強く握りしめていた昼下がり
ところが、春になりかけの陽ざしが優しすぎて何だかもうどうでもよくなってきて、このままここで野良猫を愛でながら春を待とうと思い至る。ベンチに座り直し、握りしめた拳をひらいたら、足元のクローバーの葉が四枚なことにやっと気がつけた。
#伝えたい
【I Love…冬日和】
I Love…
ストーブ猫の寝息が聞こえる午後
じっくり淹れた珈琲は深煎り
お供のクッキーはカントリー風
チョコチップ多め
蕾のスノードロップ頷く窓辺で
小さな足音を立てたのは
きっと、春。
お題「I LOVE …」
【ミッドナイト・ゼリー】
形にならずに散らばった言葉を型に入れ、ゼリー液を流して冷蔵庫へ。
夜がいっそう深くなったころ、再び冷蔵庫のドアを開けると、眩く白い光を浴びせられてしまった。
これで今夜も私に「夜」は来ないだろうと確信しながら冷蔵庫から出した型から慎重に中身を外し、皿の上に無事に着地させると、ぷるんっ♪と波打つ深夜のゼリー。
この間、月面に着陸した探査機にもこんな緊張があったのだろうと的外れな思考を流しながら、
うやうやしく皿を持ち上げゼリー越しの夜を愛たら、私は皿の上のこの美しい世界を崩す神になった。
お題「ミッドナイト」
【追伸・海の底のひとりぼっちより】
誰かの捨てたアンテナがゆっくりと落ちて来て
掴んだ私は海底ラジオ
流れる唄は懐かしの昭和歌謡から心に沁みる系
グロテスクな気味の悪い姿をした
深い海の生き物たちが集まり始め
もの静かに耳を傾ける
全てが思慮深く、穏やかな海の底
そうして私は、
いつの間にかひとりぼっちではなくなっていたよ。
(前回の続編です)
【海の底のひとりぼっちより】
ひとりぼっちの海の底
誰かとつながりたくて
Bluetoothをオンにしたけど
私を受信する何モノもここにはなくて
やっぱりひとりぼっちの海の底
#海の底