#60 馬鹿を見たことについての内省
ずっとこんなにも一生懸命だったのに
浮気されたあげく
あっさりと別れを切り出された
このやろー!!
と泣きじゃくりながら蹴りを入れたい気持ちを抑え、
気持ちが離れたのであれば
どのみち仕方のないことだと自分に言い聞かせる
何というか
「性分」と言えばそれまでだ。
ジタバタと足掻くのはみっともない...と
どこで仕込まれたのかわからない常識が
こんな時は私を支配する。
そして、こんな時こそ
どういう訳か
物分かりのよい大人を気取りたいのだ。
.....
あぁ バカみたい
空に吐き捨てた言葉が墜ちてくる。
あぁ 馬鹿を見た
そうだ、私は今、馬鹿を見ている。
次もまたこんなことがあったら
絶対!絶対!めんどくさい女になってやるっ!!
と空に強く誓った___
(今誓うべき方向性は
そうではないような気もするけれど...)
お題「バカみたい」
#59 短歌
花冷えの
二人ぼっちで
暮れる日は
何故か優しく
何故か温か
お題「二人ぼっち」
#58【星が溢れる夜に】
今夜も、
天の川から溢れた星々が地上に流れ落ちている。
この頃の戦いで今日もたくさんの命が亡くなっているのだろう。
死んだ人の一部は流れ星になり、
大切な人の元に帰るという
地上に強く思いを残している程、
天の川から溢れて流れ落ちるそうだ
今夜こそ
あの人の星は流れ落ちてくるだろうか?
私はずっと待っている
星が溢れる夜を
せめてこの手で
星になったあの人を
受け止めることが出来たらと__
お題 星が溢れる
#57 ずっと隣で
ずっと隣で
君と同じ景色を眺めていたい
ずっと隣で
この世界が化石になるまで
ずっと、ずっと__
お題 ずっと隣で
#56 100年の平穏のカラクリ
私は生まれてからずっと平穏な日常を過ごしている。
私自身も周囲の人々も
これまでの生活や人生に波風が立つことはなかったし
この街もこの国も、いや世界全体も
奪い合いや争い事はなく
目立った災害もなく平穏そのもの
「この平穏が始まってそろそろ100年になる」
どこかの歴史学者が言っていた。
ただ、声には出せないけれど
平穏すぎて私は退屈している。
ある晩、
大暴れしたい衝動を抑えきれずにいた私は、よからぬ想像を大きく膨らませていた
どこかのビルの上から大声で叫んで飛び降りてしまおうか
いやその前に銀行のシステムに侵入して強盗なんてどうだろう
ついでに、国家の防衛システムにも侵入してミサイルでも飛ばしたら世界戦争が始まっておもしろいかもしれないぞ!
と__
パチン!
大きな音がして
私の存在はこの世界から消えた。
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ふぅ~ やれやれ
危ないところじゃった....
ため息をつきながらある神さまが
『箱庭』からヒトの人形をひとつ
外に出していた。
本当にヒトという存在はなんてやっかいなんだ。
すぐによからぬことをしようとするから目が離せない.…
悩ましそうな神さま
神さまの世界では『箱庭作り大会 №1決定戦』の真っ最中。
今大会のお題は『100年間の平穏な日常』
決められたルールの中で
各自が持っている世界という箱庭に100年の平穏な日常を与え続けられるかが勝負どころ。
箱庭に配置する動植物・ヒトの数・目に見えない細菌やウイルスの数や種類、気候や地殻変動などの操作回数など細かいルールが決められているが、
その中でもとりわけ
理由付けなくヒトを箱庭(世界)からつまみ出す力技は
ジョーカー中のジョーカー
100年で3回しか使えない
そして、この神さま、丁度3回目のジョーカーを切ったところだ。
100年という時間は神さまにとって
さほど長い時間ではないけれどさすがに疲れているご様子
でも、大丈夫、もうすぐ100回目の春になる。
私の勝利は目前だ
ふぅ~っと息を吐いて整えた神さまは
また自分の箱庭を見守り始めた。
お題 平穏な日常