風に身をまかせて
風に身をまかせると飛んでいってしまうように感じた。俺は飛んでいきそうなあなたの手を必死でつかんだ。でもあなたの手は俺の手からするりと抜けて飛んでいってしまった。あなたは最後まで笑顔だった。でもその笑顔は何かを隠すような笑いだと俺は思ったが、聞くひまもなくあなたは行ってしまった
失われた時間
失われた時間はけっして返ってこない。でも人間は「今の時間無駄だった。私の時間返せよ」と言う。返ってこないのにどうしてそんな事を言うのか幼い俺にはよくわからなかった。でも大人になってからわかった。大人は残りの時間が少ないからそんな事をいうと。絶対に俺はそんなこと言わないと誓ったのに、俺は周りのクソみたいな大人と同じ人間だった。
子どものままで
子どものままでいいじゃないかそう思うことが自然に感じられる日々だった。大人を見ると目の下にくまをつくって「毎日大変なんだよ。」といっている。そんな大人を見ると俺は大人になるのが怖くなった。でも、時は止められない。いつかは大人にならなければいけない。もしも大人にならなくてもいい子供に戻れる薬があったら俺は迷わずにそれを飲むだろう。
愛を叫ぶ。
愛を叫ぶといつもあなたがそこにいる。ふわっとした笑顔に頬がゆるむ。そんなあなたが好きだった。でもある日その笑いが消えていた。理由を聞こうとするが、何も言わなかった。4ヶ月後あの人は天に召された。よくよく考えると病気のことを隠してたんだろう。気づけなかった。そんな思いを胸にいだきながら俺は君の写真に愛を叫ぶ。
モンシロチョウ
モンシロチョウを追いかけているとたんぽぽ畑にでた。そこには女の人が一人立っていた。その人が後ろを振り返ると俺は言葉が出なかった。女の人はきれいな栗色の髪にきれいな青い瞳を持っていたからだ。俺がまばたきをすると女の人はいない消えていた。6年たった今でも俺はあのたんぽぽ畑に通っている。あののきれいな人にもう一度会うために。