カラフル
今まで無色だった俺の世界に少しずつ色が広がっていった。俺はそれが嬉しかった。嬉しすぎて飛び跳ねていた。ふと隣を見ると左目に眼帯をしているお兄ちゃんがいた。お兄ちゃんが自分の左目を移植してくれたらしい。そして俺は決めた。俺のような目が見えないからっていじめられている子たちを助けるために医者になる。お兄ちゃんはその夢を俺の背中を押してくれると思ったが、世界はそんなに甘くなかった。
楽園
今日は一日むくわれない日だった。友達には避けられ、好きな人には「お前のこと嫌い」と言われた。今日気付いた。私の生きているこの世界に楽園は存在しない。そう思いながら私は今日も生きている。いつかあの世界の上の楽園にたどり着けるように。
風に乗って
風に乗ってあの人に会いたい。空の上で暮らすあの人に会えたら言いたいことがたくさんある。今まであったこと。あなたが天に行ってから辛かったこと、そして意味のない話で笑いあえたあの日の話をしたい。そんな夢を抱きながら私は今日もいじめられる。もう少しであなたと同じところに行くから待っててね。
生きる意味
もう生きる意味がわからなくなってきた。学校の屋上の塀を越えようとしたとき友達の仁奈がやってきた。「沙良なにやってんの」そう言われると私の目から自然に涙が出てた。「もう苦しくて寂しくて辛くて」そう涙ぐむ私を沙良はしっかりと見守ってくれた。少しして沙良は「辛いのも苦しいのも今だけかもしれない。そう考えると今死ぬのはもったいないんじゃない?」私はその一言で私は救われた。気づくと私の涙は止まっていた。そして沙良と屋上を降りていった。
前までの善の認識は人を傷つけず気が使える人で悪は人を傷つける人のことだと思っていた。でも今この世界は悪であふれかえっている。右を見ると悪、左を見ても悪。そんな世の中に嫌気が指したが前を見ると善人の人がいた。すると周りの人が全員善になった。このように悪人ではなく善人が増える世の中になるといいな。そう思いながら俺は誰もいない廃墟へと進んでいった。