誰もが憧れる理想郷。それは人によって違ってくるだろう。めいっぱいお菓子を食べたい?好きなだけ眠っていたい?分かるよ。そんな天国のような世界があれば喜んで行きますとも。私の理想郷、それはやっぱり「全ての問題が解決した世界」ではなかろうか、Twitterで一時期回ってきたあの画像、あれこそが究極の理想郷なのではないかと考える。……しかしこれは現実には到底ならなそうだ。あちこちで起きている戦争が終わってくれれば、万々歳かな。
「懐かしく思うこと」、数え切れないほどあるが、外せないのは部活だろうか。田舎の中学校だったため、所属していた美術部は私を合わせては部員は2人という窮地に陥ってしまった。そこで先生方が考えたのが、他の部との合併。部活に加わったのは、それまで話したことの無い同級生の男子。最初こそギクシャクしていたものの、部活中にボードゲームの「人狼」で遊んだことをきっかけに(遊ぶな)一気に仲は深まった。暫くは会えば人狼、作品の締切が迫っても人狼、部員の大半がまんまとこのゲームにはまっていった。今でもおもちゃ屋で人狼ゲームを見ると、あの役職しか書いていない手書きのカードで遊んだ日々を懐かしく思うのだ。
もしあの時大学をやめていなかったら。訓練校をやめていなかったら。挫折することなくギターを続けられていたら。進路を進学ではなく早くに就職を決めていたら。人生の分岐を「もう一つ」の方向に進むことでその先の人生はぐっと変わる。選んだのは暗闇かもしれないけれど、今の暮らしに満足している。しかし時折、選ばなかったもう一つの物語を歩んでいる自分に会ってみたいと、思ってしまうこともある。人生は一度きり、選んだ道を胸を張って歩くしかないのだ。ちなみにギターは最近また始めました。分岐が変わるかもね。
私は毎晩、寝る前にこの文章を書いている。電気も消して月明かりも届かない暗い自室で、ベッドに入りスマホをとる。アプリを開き、テーマに沿って執筆を開始する。書きながら、あんなことこんなこと、思い出しては消えていく。書き終えたら今度は日記を書く。その日あったこと、日々の中で感じること、忘れられない思い出。その全てを引き続き暗がりの部屋の中で書く。目に悪いだとか、行儀が悪いだとか言われても仕方ないことだ。しかし毎晩のこの時間が、自分と向き合って正直になれる数少ない時間になっているのも確かだ。今日も明日も明後日も、私は暗がりの中で文字を書く。
中学生の頃、定年になってもご厚意で勉強を教えてくれる先生がいた。家が近所だったので、友達に誘われて2年ほど教えていただいていた。2時間勉強を頑張ると、お疲れ様とティータイムの時間があった。洒落た洋菓子と共に出てきたのがティーカップに入った紅茶。独特な香りと味からあまり得意ではなかったが、甘いお菓子と頂くと美味しかった。今思うとこんなガキンチョにどうしてここまでしてくれるんだろう。色々あり疎遠になってしまったが、紅茶の香りを嗅ぐとあの勉強会を思い出す。