通っていた小学校は、年中行われる様々な行事にとても力を入れていた。特に運動会。赤白対抗で行われ、各競技の得点を合計して競う。応援合戦。えっこれも特典換算されるの!?と今思えば疑問が残るが、無垢な子供たちは懸命に応援に取り組む。取り組まないと怖い先生に怒られてしまうのもあって、喉を痛める勢いで腹から声を出す。中でも応援団長はありったけのパワーを使って団員たちを率いるのだから、かなりの統率力と大きな声が必要だ。12歳にやらせることじゃないよ、あんなの。卒業して随分経ったが、母校は今もやっているのだろうか。あのころの私たちは声を枯らして懸命に叫ぶように応援の言葉を繰り返した。エールいくぞー!おー!
楽しいことの始まりは、いつも君だったな。高校に上がって友達が一向にできない私に声をかけてくれたあの日。しんどくてしんどくて、学校に行きたくない時、メッセージをくれた日。友達になって初めて、遊びに行こうよって言ってくれた日。
どれもが君から来るLINEだった。高校を卒業して大人になっても、遊びの誘いや悩みの相談が来る。君から始まる楽しいこと。私はいつも、そのメッセージを嬉々として受け取る。さあ、今日は君から何が始まるのかな。
私の住んでいるところは田舎で知り合いと出会うことも多い。買い物に行くと出会うことはざらにある。よく行くスーパーがある。母親とカートを転がして晩御飯のメニューを考えながら品物をカゴに入れる。レジでお金を支払って、品物をマイバッグに詰めて、さぁ、帰ろう。歩き出すととある人とすれ違った。あれ?あの人、小学校の時の先生?よく見るとやっぱり2年間お世話になった先生だ。堅物であまり笑わなかった先生が、穏やかな笑みを浮かべて奥さんと買い物をしていた。あぁ、お元気そうで良かった。何も言わずに知らないふりをしてそのまま立ち去った。えっ、すれ違いってこういう事じゃない?
まさに今日の事だろ!って思ったけどさすがに今日は夏日でしたね。秋晴れと言うともっとこう、肌寒い空気を吸い込みながら見上げる、色の薄い青空みたいなものを想像していたけれど、最近は温暖化のせいで肌寒いの部分がなかなか来ない。小さい頃は落ち葉を踏みしめながら秋の乾いた空気を吸って吐いて、羊雲を見ながら学校から帰ってきていたものだった。あの時に戻れるのなら、もっと秋晴れを堪能しておけばよかった。
高校の時の話。2年生に進学する前の春休み、私は髪を切った。それまでセミロング程の長さだった髪を一気に肩より少し上のボブにした。新学期、案の定髪型について話題になった。「いいじゃんそれ!」満更でもない。その日は始業式とホームルームで終わり。駅のホームで次の汽車を待っていた。Sちゃんという人がいた。サバサバしてて、物事をはっきり言う。でも優しい人。オシャレで背も高くて、私には到底叶わない人だった。Sちゃんが隣に来た。私の髪を優しく指に絡めた。「髪、切っちゃったんだね」静かに、少し寂しげに言った。「長い方が良かった?」恐る恐る尋ねると、「個人的にはね」と返された。それだけのやり取りだったけれど、心の中がそれはとてもドギマギした。高校をとうに卒業した今でもたまに思い出す。忘れたくても、忘れられない思い出。