12/1/2023, 10:33:30 AM
【距離】
僕は今日、10年前に焦がれたその髪にやっと指をくぐらせることが叶った。
でもそれは、僕を含む友人達による話の成り行き。
いつか、この指に愛を込めて触れることが出来るまで、あとどれくらいだろう。
11/30/2023, 11:02:58 AM
【泣かないで】
僕は主役じゃない
僕はヒーローではない
僕は君が本当に隣にいて欲しいと望む人じゃない
だからこれはきっと僕が言える言葉じゃないんだ
11/29/2023, 10:52:34 AM
【冬のはじまり】
それは、まだ見ぬ過酷な試練への道中だったり
それは、久しい季節感を纏った空気の訪れだったり
それは、君がマフラーを編み始める合図だったり
それは、僕が君の手を取る都合のいい理由を見つける事だったり
肌を切るような冷たいからかぜが怖くないのは、君が僕に運んできてくれる季節だからなんだ。
11/28/2023, 6:01:05 PM
【終わらせないで】
砂利道を鳴らしながら僕の手を引く従姉妹のねえちゃん
ワンピースの小さな花柄が潮騒に滲んで、思わず立ち止まる
紅い夕暮れ、アブラゼミがヒグラシに代わって、僕の夏は明日ここへ置き去りになる
「ね、来年もまた来るんでしょ」
幼い僕にはとても永い時のように感じてしまうんだ。
だから、
終わらせないで。
11/27/2023, 4:57:45 PM
【愛情】
僕が手に取ったいいものを見たあの子が、
「とてもいいものね、彼が見たらきっと喜ぶ」
と言ったものだから、僕はあの子にそれをあげたんだ
「ありがとう」と花のように咲いた感謝を置いて、
遠くに居る彼へそれを持ち寄り笑うあの子はとても幸せそうだった
少し痛む胸の奥を見ないふりした僕もまた、幸せだった。