あなたの何気ない言葉が、私を救ったりする。あなた自身は忘れているかもしれない。でも、その一言が私の中で生き続けている。
見ているものは同じでも、人によって見え方が違う。その見えているものを、かたちにしてみる。心の中の思いを言葉にする。
その中の一つでも誰かに届くといいなと思う。
「あなたに届けたい」
今愛しているもの…。そう簡単には言えない。人に知られるのが恥ずかしい。どうしてだかわからないけれど、好きなものってそうなのだ。
それを手に入れるために、熱心に調べたり、それがあるところを訪れたりする。すぐどうこうするのではない。しばらく悩んで、思いを深める。
もし、手に入るときは最高の時間だ。手元でしばらく眺めたい。まずはそのまま鑑賞して、ようやく手にとる。でも、まだまだ使わないのだ。またそっと元に戻して寝かせておく。
そして、もういいかなと思うころ、ようやく使いはじめる。我ながら変だと思う。やっぱり誰にも言えない。これは自分だけの秘密なのだ。
「I Love...」
何かモヤモヤする時は、街へ出かける。人の波に紛れると、自分の影が薄くなる気がする。色々考えて、ふと涙がでそうになっても、誰にも気付かれないだろう。
〝わたし〟ではない、〝だれか〟になって歩く。街は刺激的だ。色とりどりの看板、店、音楽、人のざわめき…。そんなものに気をとられる。私は今楽しいに違いない、と思う。
テンション高めの街の雰囲気に、しっかりとからめとられたころには、もういいかなという気がしてくる。そして、だんだんとそのパワーに負けてきたら、帰る。
家の最寄り駅を降りると空気が違う。静かな日常が淡々とある。少しほっとする。でもそれが街との良いバランスを取っている。
「街へ」
これは、ピンチだ! という状況になった。どうしようもない事態に追い込まれた。いや、大したことはないと思えばそうかもしれない。
何より周りの人の反応が辛かった。なんだか腫れ物に触るような、よそよそしいような。そんな中でいつもと変わらず、接してくれる人もいた。
まあ、それでも自分は大丈夫だろうと思っていたのに、そんなことが二、三日続くと、あっという間に心が沈んでしまった。
それでもいつも通り接してくれる人もいた。そのうちそんな態度にも腹ただしくなってきた。この人たちだって、きっとよく思っていないんだ。避けようとした。逃げようとすると、はじめてとめられた。
でも後になってみると、よく分かる。一緒に、静かに淡々と嵐が去るのを待っていてくれたということを。時が解決してくれるのを、分かってくれていたのだ。
「優しさ」
真夜中にまだ起きている。電気を消して寝るつもりなんだけど、なかなか寝付けない。起きて、カーテンの端をそっと開けて外を見る。街灯のあかりが点々とついている。
近所の家は真っ暗だ。こんな時間に起きている人なんてあんまりいないんだろう。夜の色は、深い青だと改めて思う。窓からキーンと冷気がもれてくる。
カタっと音がした。はっとする。あぁ、もう新聞がきた。いつも真夜中に配達される。またぼんやりと外を見る。ほかにも外を見ている人がいるかもしれない。
街が眠りに沈む中、起きている人の思いもひっそりと漂っている。
「ミッドナイト」