私は昔紅茶が苦手だった
味も独特だし、何より「私セレブなんです」感があって嫌だった
麦茶の方が安いし、普通に美味しかった
でも、紅茶の香りは人を寄せ付けるものがあった
あったかくて、少しフルーティーで、
「気取った優しいお姉さん」と言う感じがした
それから、ちょっと、紅茶を飲んでみようかな、と思った
麦茶とは違ってさっぱりはしなかったけど、洒落てて、私が苦手だったはずの独特の味が舌の上を軽やかに転がった
美味しかった、今まで知らなかった世界だった
今、私はちょっと気取って、メイクなんかしちゃって、紅茶を嗜んでいる
※セリフを言ってるのが青山凛
セリフを言っていないのが星原真子です
途中登場する明美は凛の親友です
「終わりにしよう、友達
ヘラヘラ笑って『凛ちゃんかわいい!』とかお世辞ばっか言ってて媚びてる感がすごいなー、話しづらいなーって思ってたら、急に遠慮せず私に堂々と『きもい』とか言ってきたり、本当に辛い、悲しいよ。言ってもやめてくれないし、もうお互い損するだけだよ」
え、何でそんなこと言うの
だって、気を引きたくて、好かれたくて、一生懸命褒めたら凛ちゃんがやだっていうから、それも全部やめて、気遣わない、本音で語り合える仲になるように、本音で頑張って話すようにしてたのに…
「あと、最近『本音で話し合えるようになったね』って嬉しそうに言うけど、違うから。
真子は無神経になっただけ。本音で語り合うことと、悪口ばっかの無神経を混同させないで、」
なんで?「私たち本音で語り合う仲になれたね」っていったら凛ちゃん笑ってくれたじゃん、あれは誤魔化すための笑み?私はずっと騙されていた?ひどいよ、自分勝手だよ、お世辞でも本心でも嫌がられるとか、仲良くする方法ないじゃん、そんな世の中うまく相手してくれる人いないよ、明美だっていっつも「バカじゃないの笑」っていってるのに、仲良くしてるじゃん、こんなの差別だよ
「いい加減真子は本音とお世辞のバランスを覚えて、じゃあね、星原さん」
まって、行かないで、また真子って呼んで
私は頑張ったのに、凛ちゃんはひどいよ
何が正解だった?まだ終わらせないで…
子供の頃は
ちっちゃすぎて気づかなかった
父親にキスを迫られることに対する嫌悪
母親に泣くなと言われた時の違和感
友達に気持ち悪いと言われた時の心の傷
自分のせいだと思ってた
でも、違った
あいつらのせいだった
今でも気持ち悪くって、つらくって
何もしたくなくなる
飛び降りたくなる
なのに、あいつらは何とも思ってない
そろそろ、反抗の時期だろうか
お母さんは僕に我慢しなきゃダメって言う
お母さんは僕に泣いちゃダメって言う
お母さんは僕に学校行ったらダメって言う
お母さんは僕にご飯食べたらダメって言う
お母さんは僕にこの事言っちゃダメって言う
辛いな、なんでだろう
でも、お母さんが正しいんだ
僕がお母さんの言うこと聞かなかったら、お母さんは僕のことを殴って、間違ってるよ、って教えてくれるんだ
そう、お母さんが正しいんだ
お母さんは僕のことを思ってる優しい人だ
僕はずっとお母さんの言うことを聞いていればいいんだ
そう、それでいい
別に好きでもないのに
カレカノ扱いされる
一番好きな君から
別に好きでもないやつと
カレカノ扱いされる
僕は友達でいたいのに
鈍感な君は僕の気持ちに気づきもしないで
のんきに笑ってる
カレカノ扱いされた時の僕の顔は
どんな顔なんだろう
君にだけは言われたくなかった
諦めろ、と言われてる気分だった
きっと、僕は今、
泣きそうな顔になっているだろう
本当に、好きじゃないのに