些細なことでも気にしすぎてしまう。
昔からの悪い癖だ。
友達から言われた何気ない言葉。
会社で指摘されたそれほど害のないちいさなミス。
恋人の曖昧な返事。
自分の中で悪い方に悪い方考えてことを大きくする。
自分だけでなんだか気まずい気持ちになる。
そんなことが多い。
いざ確認してみたら相手は言ったことすら忘れているくらいなんとも思ってないのに。
なんでも考えすぎなのは自覚している。
しかし話すことが得意でない僕は、それ以外に相手を測る方法を知らないのだ。
ああもう、いっそ思考や感情が目に見えるようになればいいのに。
いつもより少し運が悪くて
いつもより少し仕事が立て込んで
いつもより少し人に苛立って
いつもより少しだけ上手くいかなかった。
積み重なった少しだけは大きくなりすぎて私を押し潰した。
立ち上がることも出来ないのに、それを知られるのが嫌で、ひとり暗がりの中でうずくまっていた。
いつもの君ならどうせ気が付かないだろう。
その鈍感さが今はちょうどいい、なんて思っていたのに
ぱちりと音がなり明るくなる部屋。
「なんかあったん」
いつもより少し優しい声
こんな時だけ察しが良くて本当に腹が立つな。
君が気づいてくれただけで少し軽くなる自分の単純さにも腹が立つな。
ああもうどうでもいいや。
柔らかな香りが鼻腔をくすぐった。
次いでかちゃりと上等な茶器の擦れる静かな音。
「おはようございます。モーニングティーが入りましたよ」
暖かい声と優しい手に揺り起こされてようやく目を開ける。
おはよう、と掠れた声で返事し、まだぼんやりとしている私に「おねぼうさん」と囁き恋人は嫣然と微笑んだ。
慣れた手つきでティーポッドを手にする恋人の鼻歌と湯気と一緒に香り立つ紅茶に朝を感じる。
君と出会うまではコーヒーの香りで目を覚ましていたのに。
愛なんて信じたこと無かった
でも君がくれるそれはストンと入ってきて
じんわり暖かく僕の中に広がった
2人のあいことば
今はもう悲しいだけのあいことば
なんでも話せるっていってたのになぁ
キミがいるから頑張れるよって言ってたのになぁ
信頼出来る友達だよって言ってたのになぁ
結局なんも言わずに急にいなくなって
「誰にも言えなくて苦しくなった」?
「誰も信用出来ない」?
それって矛盾してないの?
結局信頼もしてないじゃん
友達とか思ってたの私だけじゃん
信用してなんでも話してたの私だけじゃん
裏切られた気分になるのは心狭いの?
もう以前みたいに笑えないんだけど
それでも友達?
もうよくわかんないよ