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柔らかな香りが鼻腔をくすぐった。

次いでかちゃりと上等な茶器の擦れる静かな音。

「おはようございます。モーニングティーが入りましたよ」

暖かい声と優しい手に揺り起こされてようやく目を開ける。

おはよう、と掠れた声で返事し、まだぼんやりとしている私に「おねぼうさん」と囁き恋人は嫣然と微笑んだ。

慣れた手つきでティーポッドを手にする恋人の鼻歌と湯気と一緒に香り立つ紅茶に朝を感じる。

君と出会うまではコーヒーの香りで目を覚ましていたのに。



10/27/2021, 12:16:16 PM