進学のため引っ越して
就職のため引っ越して
その度にわたしの「キャラ」が少しずつ変わっていく
生来の性格に調整を加え
妥協のラインをあらかじめ決めて
次はもっと上手く立ち回れるように
そうしているうちに気づいた
確かにコミュニケーションは驚くほど円滑になった
しかし同時に、誰にも心を開けなくなっていた
久しぶりに地元に帰って
わたしという「キャラ」の変わりように驚いた
──人と関わるのは嫌い
──わたしのことなんて何も知らないくせに
それら全て
傷つくことを恐れ
ぶつかることを恐れ
恐れているのを笑われることを恐れ
自分を曝け出すことをやめたわたしが原因だった
さらに気づいた
素の自分がどんなものだったか
分からなくなっていた
そもそも、自分に嘘を吐いたつもりはなかった
だというのに
どこまで自分を曝け出せるか
滞在した各地で明確な差が存在していた
何が違ったのか
わたしは変わったのか、変わっていないのか
本当のわたしと
わたしが無理せず隠さず生きていける環境は
どうすれば手に入るのか
もう考えるのが面倒くさい
一旦全てをリセットしたい
どこか遠くの
誰もわたしのことなんて知らない街に行きたい
そう考えているうちは
変わったようで変われていないと
少しずつ変貌する自分の「外側」に歪められ
疲弊していくと
分かってはいるのだが
ただ気が向いたほうに歩いた。
未来のことも、過去のことも考えずに歩いた。
ほんの少しの反抗心と、
残り僅かな時間だけが荷物だった。
どこへ行くんだろう。
……違うな、
どこへ行こうか。
真っ当さなんて、
捨ててやろうか。
レールを外れ、思考の間を跨いで。
いずれ戻らなければならないと知っていても、
今だけは、邪魔しないでくれ。
「脱線」
どーせ起きてるんでしょ
って期待を僅かに込めて
ミュートメッセージを送る
深夜2時
勝手に元気にさせられずに済むから
曇り空が好き
悩みに悩んで飽和した頭を
優しく冷ましてくれるから
雨の匂いが好き
私が私のままでいられるのは
意外にもこんな日かもしれない
独りになってから、毛布を誰かに見立てて抱きしめたことがあるな、とか。