「また明日。」
明日があるのが当たり前。
みんなそう思ってるから、知人、あるいは大切な人と別れる時に
まるで約束するかのように言葉を交わす。
私も帰り際、少し寂しくなるけれど、明日にまた会える事を楽しみにしているから期待を込めて、「また明日ね。」って言う。
そしたら相手も「また明日!」って返してくれるから少し嬉しくなる。
こんな当たり前な日常が1番幸せだって感じる。
皆さんもまた明日、ここでお会いしましょう。
【また明日】
別れは突然に訪れる。
季節は巡り、時は移ろいゆく。
どんな時でも「別れ」と「出会い」は存在し、
それらは人々を喜ばせ、悲しませ、驚かせ、悩ませる。
どんなに懇願したって必ずそれらは訪れてしまう。
別れは運命によって最初から定められている。
突然に感じられるかもしれないが、前々から決まっているものなのだ。
ずっと永遠にこのままなのだろうという、普通=当たり前なような
無意識な想い、確信があり、そのせいで別れを突然に感じられるのかもしれない。
私も突然の別れなんて出来れば経験したくないが、
別れは常に存在しているものであってそれからは絶対逃れられないのだろう。だが私は別れよりもこれからの出会いを楽しみにしている。
【突然の別れ】
真夜中・・・なんかいい言葉だ。
真夜中に布団の中でこっそりゲームしたり、
こっそり夜更かししたり、そんな思い出がある。
だが真夜中にトイレに行くのは未だに少し怖い。
黒い人影が居そうだとか、上からなにかぶら下がってくるんじゃないかとか、隙間からなにか見てるんじゃないかとか・・・、とても嫌な想像をしてしまいがち。
真夜中に目が覚めてしまうことも少し怖い。
目が覚めた時に天井の黒いシミが気になって眠れなかったり、目が覚めた時間が午前二時だったらもっと絶望する。皆が寝静まった時間に自分だけ起きているとなると少し不安がったり、落ち着かなくなる。自分だけが取り残されている・・・そんな気がする。
けれど真夜中特有の静けさも嫌いじゃない。別な世界に来たような感覚、少し癖になる。
【真夜中】
ひゅうひゅうと音がする。風の音だ。
星一つ無い、真っ黒な空の下に僕は1人だけ取り残されていた。
何も見えない暗い闇の中に僕はただ1人。
とても孤独を感じていた。でも怖くない。だってもうすぐあれが来る。
下の方から大きな音が聞こえた。ここには何度も来ている。
今日決めたんだ。ちゃんと今日こそ向き合おうって。
あまりにも周りが暗いから、自分が目をつぶっているかつぶっていないか分からなくなる。でも実際そんなことはどうでもいいのだけれど。
僕はゆっくり歩きながらまっすぐ進んだ、早くあれに近づくために
次の瞬間、僕は暗闇の中、地面から足を踏み外した。
風に身をまかせ僕の体はふわりと浮いた。心地よい瞬間。
ようやくあれが来たのだ、待ち望んだ死が訪れたのだ。
ひゅうひゅうと耳元で掠れた風の音が鳴り、大きな波の音が下の方で僕を呼んだ。
僕は真っ逆さまに冷たい水の中へ落ちていった。
【風に身をまかせ】
時は現在を象っていく。
あった出来事、この瞬間にはもう戻ることは出来ない。
失われた時間、過去の出来事を思い出すことは出来るが、
その時間にはもう立ち会えないのだ。
人生は一人の人間につき1回とされている。どう生きるかは私たち次第。
でも2度は無いのだ。ゲームみたいにやすやすとコンティニューなんて出来ない。今感じていることだってその時にしか味わえない。
人々は皆、与えられた時間の中で生きていき、時々失った時間について振り返る時がある。失われた時間は私たちが歩んできた過去であって未来であって、色んなエピソードが詰まっているからだ。失われた時間でも自分の心の中に留めておけばいつまでも失われることは無い。
例えば、砂時計。
ひっくり返して時間をはかる便利な物。
落ちた砂はもちろん過ぎ去った時間、瞬間のものだけれど、しっかり残っている。砂が全部落ちきったらまたひっくり返して、そしてまた落ちて。
失い、与えられる、それが繰り返して、与えられた時間でさえも失われていく事になる。
今を大切にすると、失われた時間でさえ大切にできる。
私はそう思っている。
【失われた時間】