1/16/2024, 11:49:40 AM
「 美しい 」
彼は私の方を見て唐突にそう言った 。
普段はそんなこと口にしない 。
私は驚いて彼を凝視した 。
たっぷり数秒間固まった後、彼に聞き返した 。
「 どんなところが ? 」
「 艶やかな茶色の髪に愛くるしい瞳 。 」
彼は顔色一つ変えずに続ける 。
「 人形のように細い四肢、しなやかな身体 。 」
彼にこんなにも褒められたのはいつぶりだろう 。
頬が赤くなるのを自覚する 。
”ありがとう、── もかっこいいよ ”
と口にしようとした時 。
「 うちでも飼いたいな 」
「 え? 」
彼の言葉に思わず素っ頓狂な声をあげてしまった 。
戸惑いながらも彼の視線を辿る 。
彼の瞳が捉えていたのは
私ではなく、
────私の後ろを歩く子犬だった 。
# 3 『 美しい 』
1/16/2024, 4:53:21 AM
この世界は美しい 。
貴方が生きているから 。
例え一生叶わない片想いだとしても 。
同じこの世界に生きている限り
貴方と出会うことは出来るのだから 。
# 2 『 この世界は 』
1/15/2024, 9:33:01 AM
どうしてわたしは始めないのだろう 。
目の前には広げられたノート、参考書 。
ペンを持とうとするとどうしてもいやになって 。
それで 。
ペンの代わりに手に取るのはスマホ 。
またいつものようにSNSをチェックして、
ゲームを開いて、それで …
気づけば短針は9を指している 。
どうしてわたしは始めないのだろう 。
いつか自分に問わなくなる日は来るのだろうか 。
# 1 『 どうして 』