世界に一つだけ
時間も空間も何もない世界
そこに風が吹く
弱く、強く。
意識、ひとつの意識
ひとつのエネルギー
ひとつの愛
世界をつくる、一つだけのもの
胸の鼓動
ホームセンターに来ると、いつも胸がドキドキする。
店内を父と歩く場面が浮かぶ。その後しばらく何とも言えない苦しい感覚が続いて、徐々に元に戻る。ここまでがセット。
これが何年も何年も続いてる。
昨日初めて、思い切って立ち止まってみた。そして「もうドキドキしたくない」って思った。
そのままノロノロ移動してネジ売り場に来た時、胸の奥から何かがぬっと上がって来た。思わず小声で返事した。
「ああそうか。安心してたんだ。ずっとそれ言ってたのね…」
誰もいない通路で目を閉じる。3秒くらい。深呼吸。。
目を開けると、売り場の床に四角い日向が並んでるのが見えた。天窓から差す光が作る、日差しのかたち。
それらが一瞬粉々に砕けて、またすぐ元に戻ったように見えた。舞い上がる金色の粒子。。
…違う!全然元通りじゃない。
もうドキドキしてないし、長年親しんだあの苦しい感覚がない。
ずっと知らせてくれていた胸の鼓動。
私はやっとそれに気づいて、乗りたかった線に乗り換えたんだ。
踊るように
下から鉄骨を投げ渡しながら足場を組み立てていく現場の職人さん
書店の店員さんがブックカバーをかける所作、仕上げの輪ゴムが弾ける音
植木屋さんがおしまいにかけた、庭の地面の熊手の跡
いつものお客がブチ切れた時の身振り手振り、瞬時にバリヤーを張る店長が傾けて行く頭の角度
自転車に乗ったまま信号待ちする男の子、その間よくやってる8の字走行
日が暮れるまで公園でおしゃべりしてる制服の女の子。横に揺れる二つのブランコ
どれもみな踊るよう
時を告げる
昨日は令和150年に行った後、和銅6年まで行って来ました。
和銅6年9月6日は木曜日
その日も秋晴れだったのかな?
今の私と同じように誰かを待ったり
何かを探したり片付けたり
ただただ笑ったり
二言三言でも言葉を交わしたり。
友達になれた人もいたかなあ
令和150年にも
令和5年の9月7日にも
きっといる
待ち時間などに指一本で気軽に行ける
壮大な旅。タイムトリップ。
スマホのカレンダー、おすすめです。
貝殻
外側はゴツゴツ。
嵐が来たって平気平気。
内側はすべすべ。
光沢があって柔らかな人肌のよう。
その中に入って
すやすや眠る
貝。
貝たち。
ぐっすり眠ったまま
鯨の、ウツボの、お腹の中、
夢の中へ。
波が話しかける。
大きく小さく、寄せては返す、規則的なリズム、波音で。
砕かれながら、細かい粒子、
命の素になりながら
貝たちはその声を聴く
「かわいい貝たち、
またおいで
またあそぼ
次はひとつ上でね…」
それを聴く私の耳。
浮かんでくるのはコクトーの詩。
私の耳は貝の殻
海の響きを懐かしむ…