『秋恋』
恋の話を書くのは苦手です。
何となく、自分の好きな人とか、大切な人に対する感情を、『恋』という1文字で表したくないと思っています。
それだけ、大切な人たちだから。
私が、今日も生きていようと思えて、
今日も生きていてよかったと思える、理由だから。
ちょっとお題の主旨とは違うかもしれないけど、私なりに考えて出した結論です。
『大事にしたい』
(今日の話は、前に読んだ本に書いてあったことを自分なりに解釈したもの。私がこれまでの人間関係で感じてきたこと。)
目の前に、コップがある。
それがガラスでてきているのか、プラスチックでできているのか、
見ているだけでは分からない。プラスチックだったら、少しぐらい雑に扱っても大丈夫だけど、ガラスだったらそうはいかない。そのコップは、少しでも触れたら壊れてしまいそうで怖かったから、柔らかい布を持ってきて、丁寧にそれで包んで、落とさないように、両手で持った。
しばらくすると、またもうひとつコップが現れた。私はそれも、丁寧に布で包んで抱えた。
ひとつ。またひとつ。少しづつ増えていくコップを、私は丁寧に布で包んで抱えた。そのうち、両手で抱えきれないくらいに、布で包まれたコップが増えた。それでも、私は頑張って全部持とうとした。
涙目になりながら、もう持てないと思いながら、それでも、次々増えていくコップを、布で包んで抱えた。
もしもコップに心があったとしても、私の涙には誰も気づかない。だって、私が丁寧に布で包んだから。
ある日、とうとう持ちきれなくなって、コップがひとつ、床に落ちた。ジェットコースターで落ちる時みたいな、体が浮く感覚がした。
一瞬体から力が抜けそうになって、でも、持ってるコップを落としそうになったから、何とか座り込むのを耐えた。
落ちたコップは、割れなかった。
(割れない。)
安心して、ちょっと力が抜けて、コップがいくつか床に落ちた。割れたものはひとつも無かった。もしかしたらヒビが入っているかもしれないが、布で包まれていたから分からなかった。
その後、このコップたちを、カゴに入れて持てばいいのだと気がついた。カゴを持ってきて、丁寧に中に並べた。まだ重いけれど、だいぶ持ちやすくなった。
しばらくして、重いならテーブルに並べてしまえばいいんだと思いついた。テーブルを用意して、丁寧にコップを並べた。
カゴの中には、少しのコップが残った。
私のお気に入りのコップだ。好きな柄、形、大きさ。どうしても手放せなくて、カゴに入れたまま持っていた。
大事に大事に、持っていた。
『時間よ止まれ』
明日なんて、来なくていい。
過去からやり直すなんてこともやりたくない。
今を生きるので精一杯で、次の1歩を踏み出すのも億劫で。
ぼんやりと、電車の窓から外を見る。
この時間が好きだ。
自分を卑下して、この世界に希望なんてものは無いと、諦めて。
きっと、ある人から見れば明るい、この世界で、
私の立つこの場所だけが日陰だ。
自分の時間を止めて、暗闇の中で、目を閉じている。
『夜景』
流れ星を見た。
学校からの帰り道。
ふと見上げた空に。
パッとひとつ、光が弾けて、スーッと流れて行った。
『花畑』
夢を見ていた。
目の前に、花が咲いていた。
真っ白なゆりの花。
それが、辺り一面に咲き誇っていた。
それを見つめているだけの、夢だった。