kiliu yoa

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12/4/2024, 8:54:08 AM

私は、愛人。

誰よりも、彼を愛してきた。

一途に、一途に、愛してきた。

彼が家に来る時は、いつも夜だった。

華やかなシルクのキャミソールドレスを着て、

艶やかな化粧をして、

甘い声をした。

正直、彼と結婚できると思っていた。

彼は、奥さんより私の方が綺麗だと思っていた。

でも、現実は違った。


彼の奥さんを遠目で見た。

すぐに分かった





12/1/2024, 1:55:19 PM

遙かなる 予期せぬ早さ 幼子よ われ知らぬうち 巣から飛び去る

11/30/2024, 2:26:08 PM

「兄上、どうか、私の死を悲しまないで。」

血の海に、彼は浸る。

柔らかく、微笑み、いつものよう私を尊敬の眼差しで見る。

「嗚呼、頑張るよ。」

私は、辛うじて笑みを浮かべた。

「兄上、あなたは私の憧れでした。

 例え、理解されなくとも怯まず、

 例え、冷遇されても結果で圧倒し、

 何があろうと己を信じ、

 何があろうと努める。

 その姿は、正しく我家を継ぐに相応しい。」

彼は死の淵に漂いながらも、

その瞳は潤み輝きを増し、

彼の表情は、まるで英雄譚を語る子供のようであった。


そして、月日は流れる。

私は、今、死の淵を漂う。

後にも先にも、彼、いや、貴男だけだったよ。

私に、あのような眼差しを向けてくれたのは。

やっと、そちらに行けるようだ。

嗚呼、なんと永き月日だったであろう。

貴男の最期は、一度たりとも忘れられた事など無かった。

私は、血の海に浸る。

永きに渡り、待ち望んできた、死とは、こんなにも穏やかだったのか。

ならば、あの時、私がこの手で最後に貴男を殺めた時、

先代を殺し、兄弟を皆殺し、

我家の悪習という名の代替わりを成し遂げた時、

貴男が何故、いつも以上に穏やかだったのか、

やっと分かったよ。


「我が息子よ、私の死を悲しむな。」

息子は涙を堪えながらも、覚悟を決めた表情をしていた。

私は、瞼を閉じる。

「承知、致しました。」

微かに、息子の声が聞こえた。
















11/28/2024, 1:49:53 AM

わたくしの夫は、ろうそくの灯りのような人だった。

自然の草木を愛で、動物と語らい、楽器を奏でる。

平和と豊かさを心から愛している人だった。

太陽のような輝かしさ、宝石のような華やかさは無くとも、

暗闇を柔らかく照らし、多くの人々を安心させる、ろうそくの灯り。

皆の日々を支え続ける、温かい心遣いのできる人。

本当に非の打ち所の無い、自慢の夫だった。



11/26/2024, 11:20:23 PM

体調が悪い。

頭が働かない、自分のことで手一杯で何もかもが癪に障る。

やばい、めまいがしてきた。

意識が遠のく。

汗は滲む。

身体は重く、辛うじて動くがとても遅い。

やるべきことは、たくさんある。

なのに、出来ない。

悔しい、やっとだ。

やっと、5年ぶりに薬要らずで体調が安定してきたのに。

多くの努力が実を結んでいたのに。

気候が少し、体調が少し、崩れただけで何も出来ない。

薬を飲んだが、少し飲むタイミングが遅かった。

ただ、それだけ。

それだけのはずなのに、全然効かない。

分かりやすく、発熱してくれたら良いのに。

こんなに自分が理解できず、

こんなに自分が許せないとは考えられなかった。

予想してなかった。

私は、未だに理想に固執していたことに。



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