kiliu yoa

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5/17/2024, 2:03:22 AM

「今の世には、愛が必要だ。」

師は、この乱世にそう説いた。

師には弟子が約三百人ほどいる。

しかし、その信念、その教えを理解しているのは極少数。

皆、師の戦を学ぶために此処にいる。

私も、その教えを理解出来せず、戦を学ぶ弟子のひとりだ。


師は、弟子たちが自分の信念を理解していなくても、

私のように、師の教えと全く反対の信念を有していようとも、

決して、弟子を否定しなかった。

それどころか、

寧ろ、師は信念に興味を示せば、感動するほどであった。

人間なら、誰しも有する驕りや傲慢さが全く無い人だった。


優れた戦の才覚を有しながらも、誰よりも平和の世を望んだ人。


名は、墨子。

唯一、今生で私が尊敬している御方だ。












5/13/2024, 6:10:34 AM

気づかないで、お願い。

わたしは、あなたの母では無いことを。

わたしは、あなたを恨んでいることを。

わたしは、あなたが成長するたびに複雑な感情を懐くことを。


あなたとわたしの関係に、このまま疑問を懐かないで。

わたしは、あなたを心から大切に思い、

愛していながらも、恨んでいることを赦して。



お願い、このまま気が付かないで。

どうか、このまま、ずっと……子どものままでいて。






5/3/2024, 3:41:26 PM

わたしには、かつて名前が無かった。

あるのは、数字とラテン文字の羅列だけだった。

何故かというと、わたしの身分は奴隷より更に低いからだ。

わたしのような身分を、道具や武器、人形や傀儡という。

その言葉が示すとおり、わたしたちには主がいる。


今のわたしには、名前がある。

今は亡き主様が有するもの、全てを貰った。

名前に身分、富など……数え切れないほど頂いた。

あなた様が為せなかった、

全てをわたしが受け継ぎ、少しでも成すために。

あなた様の苦しみと悔しさまでも受け継ぎ、

あなた様が描いた、理想の世界を実現するために。


わたしは、あなた様と交わした約束を果たすべく、今日も努めて参ります。











4/30/2024, 2:32:19 PM

目は閉じ、口は弧を描く。

上品に微笑みながら、さり気なく気遣う。

時には甘い言葉を囁やき、時には励ましと労いの言葉を掛ける。

あなたは触れられる前に、その手からすり抜けてしまう。

あなたを欲してしまえば、そこには居なくなってしまう。


口の中で、甘く、蕩けて、無くなる。


そう、あなたは、まるで蜜のよう。


楽園という名の、あなたという名の、


鮮烈な、甘く、蕩ける、毒を知ってしまえば、


もう他のものでは、満たされない。





4/27/2024, 3:11:28 PM

生きる意味など、私には無い。

唯、生きたから、生きる。

唯、それだけ。





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