kiliu yoa

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10/22/2023, 12:40:53 PM

 季節が変われば、人々の装いも変わる。

 それは、美しい。

 その季節を象徴とする色に、多くの人々の装いも染まる。

 この情景は、人々が豊かで無ければ、見ることは叶わない。

 私のハンカチには、ふたつの大文字のアルファベットが少し重なるように

 妻が、深く染められた絹糸で刺繍してくれたものだった。

 この深く染められた絹糸を人々が躊躇なく買える、

 そんな安定した、豊かな、平和な治世にしたかった。

 今、私は……やっと、そう思える。

 私の成したことは、間違ってなかったと。

 この、私の治める地の人々を、この年も困窮されなかったと。

 嗚呼、本当に良かった。

 ああ、本当に良かった……。

 目から涙が溢れて、溢れて、止まらなかった。

 どのくらい、経っただろう。

 気付いた時には、側に妻が居た。

 優しく微笑みながら、私の頬をつたう涙を……

 あのハンカチで、そっと拭いてくれていた。

 
 

 

 

 

10/21/2023, 2:30:57 PM

 叫びなんて、馬鹿らしい。

 幼い頃から何度も見てきた、父に縋りつき喚き叫ぶ母。

 母に冷笑を浮かべ、父は『君も僕みたいに愛人をつくると良い。』と言う。

 そんな滑稽なやり取りを何度も見てきた。

 女泣かせのクズな父。婚外子は把握しているだけでも、数十人は居た。

 父に固執し続けた母。実子の完璧さを求め、次第に狂っていった。

 大人に成り切れない、哀れな両親を見て思った。

 喉を枯らしても、届かないと。

 そう、貴女に出逢うまでは……。

 

  
 

 

 
 

  
 
 
  

 

10/20/2023, 10:32:53 AM

 耳を澄ませる。

 なんとなく、好きな音に耳を傾ける。

 虫の音が静かに響き、心を優しく包んでくれる。

 だからだろうか、虫の音を聴くと 凪みたいに穏やかになる。

 秋は、何もかも崩れる。

 日が暮れる時間が早まることで、心の調子は崩れてしまう。

 寒暖差が大きいことで、春や夏の疲れが押し寄せる。

 これらが重なることで、体調が崩れてしまう。

 でも、だからこそ、日々を見直せる気がした。

 春や夏の無茶を、秋には見直し、冬には反省を生かす。

 だから、秋は『いつものはじまり』だと思う。

 わたしにとっての、本当のはじまりはいつも秋だった。

 

 

 

10/19/2023, 2:19:45 PM

 いやよ、ひとりの女だけを愛さないで……。

 わたしは、あなたの妾に過ぎないわ。

 でも、心から…あなたを愛してるの。

 そんな……わたしの側にいるときより、幸せそうな顔をしないでよ。

 ああ、わたしのまえで…そんなに彼女のことを嬉しそうに……話さないで。

 そう言えたら、どれだけ良いのだろうか。

 あなたに嫌われることが、何よりも恐ろしいの。

 離れることは、甘い嘘より……いやよ。

 わたしの愛を、忘れないでね。


 
 


 
 

 
 

 

 
 

 

 

 

10/16/2023, 2:11:20 PM

 暖かく、麗らかな、中性美を纏う、魅惑の貴女。

 そよ風のように、私に触れる貴女。

 凪のように、穏やかな貴女。

 竹のように、靭やかな貴女。

 蝶のように、軽やかな貴女。

 何人たりとも惚れぬ、母鷹のように凛々しい貴女。

 貴女の前では、青薔薇も色褪せる。

 貴女の温もりは、巨万の富も価値を成さない。

 この世で最も深く愛す、貴女。

 私の妻として、子どもたちの母として、貴女は幸せでしたか。

 貴女の、風花のように澄んだ声を……鈴のような笑い声を……

 どうか、もう一度だけ、聴かせて……。

 

 


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