#12 暗がりの中で
眠れないまま明日を探していました。何も見えないまま、必死で手を伸ばして。
明日は明るいのだと誰が保証してくれるのでしょうか。探し当てた明日は絶望かもしれないのに。
それでも、ほんの少しの明かりを辿るように、明日を探すのです。
眠れない夜の騒がしい孤独。暗がりの中で、静かに確かに声を上げて、明日を。
#11 友達
小さな恋を安易に打ち明けてしまえば、多分、崩れてしまうから、今はなまだ恋を下敷きにして、あなたに会う。恋人になれないのなら、せめて友達として一番近くにいたいから。
きっと、そうしているうちに、この恋はなくなってしまうから、もう少し友達のまま片思いをさせて。
私とあなたはただの友達。
それ以上でもそれ以下でもなく。
#10 行かないで
ねえ、指先が冷たいよ
ねえ、夜が寂しいよ
ねえ、泣けないよ
ねえ、笑えないよ
痛いよ、なんて何度も叫んで、自分の感情だけあなたにぶつけていた。あなたもきっと辛かったのに。
それでも、それでも
ねえ、行かないで
行かないでよ
#09 どこまでも続く青い空
今日、私は失恋をした。いや、恋を失くした訳ではないから、単純に振られてしまっただけと言うべきか。振られてしまったけれど、彼のことはまだ好きだ。
それでも、もう、友達には戻れない。好きな事も振られた事もなかった事には出来ないし、今まで通りではいられないから。
友人は慰めるよと言ってくれたけれど、泣けないし割と笑えるから、丁重にお断りした。
大丈夫だよ、と言い聞かせる。少しの痛みは、きっと思い出に変わるから。
青い空はどこまでも続く。
#08 子供のように
声を上げて泣いた。
ひとりきりの部屋で、わざとらしいくらい大声を上げて泣いた。
強がりなんか少しも役に立たなかった。
あの子のように「行かないで」と引き止めればよかった。
子供のような恋を、あなたとすればよかった。
ほら、もうすぐ秋が終わるよ。