12/20/2024, 6:25:18 AM
「どんなに人恋しくたって、一人で生きていくのだ」と、小さな頃、どうしようもなく思い知らされたことがある。
結果、父と繋がるのは手ではなく、物語で。
結果、母が愛でる頭は私ではなく、黒猫で。
結果、姉が抱き上げるのは私のぬいぐるみ。
愛されている、まぎれもなく。
確信するからこそ、寂しい。
12/17/2024, 11:09:10 AM
純米酒、吟醸、大吟醸。
なーにが違うんだろう。
去年の味も覚えてなければ、銘柄さえも覚えていないのに。
いつか飲んだあの味を求めて、知らない地酒に手を伸ばすのである。
──とりとめもない話
12/16/2024, 9:35:42 AM
耳がキンと冷たくて、空気が一段と澄み渡り、あらゆるものの色彩が眩く生々しく目に飛び込む。
雪が来る。
故郷に深々と積もりゆく予兆。その痛みが。
耳朶から鼓膜に向けてやって来る。
12/12/2024, 2:57:19 AM
その女には、顔に大きな傷がある。
寝ても覚めてもそこにあり、反射に写り込むたび目にはいる。
誰もがまずは傷を見る。驚きと恐怖と好奇心がそこに視線を惹きつける。
あの人は、どうやってその日々に慣れたのか。
慣れるはずもないか。
人生が一転して、バラバラに砕けた傷跡だ。
埋めて、消せはしない。
消してやりたいという気持ちさえ、迷惑千万な代物だ。
さて、どうしたものか。
空に白雲が答えを描くわけでもないのに、顎があがる。
知らんフリも何でもないフリもし難いものだ。いまさら親身になるのも気味が悪いだろう。
おそらく彼女には、どうして欲しいとも思われていない。
ううん。
ひとまず、惚れた立ち姿をほめちぎってこようか。
12/10/2024, 11:25:08 PM
我が道と幅取りて行く学ランの
群れぞ常より幅狭く雪
──仲間