『君の目を見つめると』
君の目を見つめると
壊れた機械みたいに誤作動を起こす
このポンコツな心臓の修復が終わるのは
どうやらもうちょっと先のようです
『怖がり』
怖がりな僕は。
誰かと繋がりたいと心の内で叫びながら。
僕に差し伸ばされる手を。
怖々と待ち望んでいる。
『ブランコ』
あの青く広大な空が
手が届くくらいに近くに感じた
目の前には夢と希望が溢れていて
いつの日が高く遠く
羽ばたいていけるような気がしてた
あの頃に
貴方がそうやって背中を強く押してくれていたから
僕は高い空を何の疑いもなく
届く場所にあると思えていたんだね
ありがとう
背中を押す手はもうないけど
今度は僕がこの足で
高く遠く
どこまでもこいで行くよ
見目麗しいとか、裕福だとか、天才だとか。
そういうものに幸せがあるわけじゃなくて。
見目麗しいとか、裕福だとか、天才だとか。
そういうものがあってもなくても関係なくて。
幸せが必ずあることを。
どんなことが起きても信じ続けることができる。
そんな心の中に。
生まれるものなんじゃないのだろうか。
【幸せとは】
冬はコタツでみかん。
我が家ではお決まりの光景だ。
僕と君と三人の子供たち。
人数が多いからスーパーで買ってもすぐに無くなる。
食べ出すとついあともう一個と、誰もが手を伸ばしてしまう。
「今年はなかなかなくならないなぁ・・・・・・」
子供たちが寝静まったあと、僕は一人でコタツに入り、みかんが積まれたカゴを見つめながら呟いた。
「いちばん食べてたのも君だったものね」
みかんのカゴの隣で写真立てに収められた君が笑う。
僕はそっとカゴからみかんを一個掴み、皮をむいてその一房を口に入れた。
噛むと果汁が口に広がる。
少し酸っぱいみかんだった。
『残念、貴方のはハズレだったみたいね』
そう言って何だか勝ち誇ったように笑む君が脳裏に浮かぶ。僕がハズレを引くと、君は必ずその後に、自分が剥いた甘いみかんを半分お裾分けしてくれて、勿体ないからと、僕のハズレのみかんを半分食べてくれる。
「きっと丸々一個、酸っぱいのを食べたせいだ」
だからこんなに涙が溢れてくるんだ。
【みかん】