Yushiki

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 冬はコタツでみかん。
 我が家ではお決まりの光景だ。
 僕と君と三人の子供たち。
 人数が多いからスーパーで買ってもすぐに無くなる。
 食べ出すとついあともう一個と、誰もが手を伸ばしてしまう。


「今年はなかなかなくならないなぁ・・・・・・」


 子供たちが寝静まったあと、僕は一人でコタツに入り、みかんが積まれたカゴを見つめながら呟いた。

「いちばん食べてたのも君だったものね」

 みかんのカゴの隣で写真立てに収められた君が笑う。

 僕はそっとカゴからみかんを一個掴み、皮をむいてその一房を口に入れた。
 噛むと果汁が口に広がる。
 少し酸っぱいみかんだった。


『残念、貴方のはハズレだったみたいね』


 そう言って何だか勝ち誇ったように笑む君が脳裏に浮かぶ。僕がハズレを引くと、君は必ずその後に、自分が剥いた甘いみかんを半分お裾分けしてくれて、勿体ないからと、僕のハズレのみかんを半分食べてくれる。

「きっと丸々一個、酸っぱいのを食べたせいだ」

 だからこんなに涙が溢れてくるんだ。



【みかん】

12/29/2023, 9:49:59 PM