Yushiki

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9/28/2023, 10:22:16 PM

「じゃあな」と言って、互いに手を振る。

くるりと背を向けて、前へと踏み出した。

数歩ほど行ったところで立ち止まる。

別に示し合わせていた訳でもない。

それでも後ろを振り返れば。

あいつも同じようにこちらを振り向いていた。

俺たちは同時に吹き出して一頻り笑う。

そうして次の言葉がまるで分かっていたかのように、二人して高々と開いた手のひらを天へと突き上げ、大きな声で叫んだ。


「「またな!」」


いつかまたこの世界のどこかで会おう。

それが別れ際に交わしたあいつとの約束だった。



【別れ際に】

9/27/2023, 11:24:05 PM

 小さな店の軒先で。
 君と二人きりで雨宿り。
 予期せぬ通り雨に感謝をしつつ。

「すぐに止みそうで良かったね」と笑う君の隣で。
 まだ行かないでくれと。
 遠離る雨粒に強く縋ってみたり。



【通り雨】

9/27/2023, 4:51:48 AM

 何気なく歩いていると、ふと小さな虫の声が耳を過る。
 頬に当たる風が涼しげに触れていき、空気がさらりとするようになる。
 そんなふうに気付いたら、いつの間にか秋はやって来る。
 けれど過ぎ去って行くのも早いから、秋は少し物悲しい季節な気がする。



【秋🍁】

9/26/2023, 7:48:15 AM

 何も知らない土地に引っ越した。
 初めての場所。
 初めての風景。
 とても緊張していたけれど。

 いつしか窓から見える景色に。
 心安らぐようになって。
 一日の終わりに、ああ、疲れたなぁと。
 溜息が自然に出て肩を下ろせるようになると。
 僕はここが自分の帰る場所になったのかなと。
 そんな自覚をし始めて。
 ああ、良かったなぁと、ほっとする。



【窓から見える景色】

9/24/2023, 11:25:43 PM

 カッコイイもの。
 好きなもの。
 便利なもの。
 流行ってるもの。
 高価なもの。
 そんなものに憧れては。
 手に入れたくて頑張ってみたりもするけれど。

 ひとりになった時。
 ふと頭が空っぽになって。
 心の中も何だか空虚になった時。
 そんな時、衝動的に欲しくなるものは。

 いつも形の無いものばかりなんだよな。



【形の無いもの】

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