作品No.189【2024/10/06 テーマ:過ぎた日を想う】
過ぎた日を想えば
根本的に変わっていない
自分に気付いて
またひとつ
自分に嫌気がさしていく
作品No.188【2024/10/05 テーマ:星座】
星座ならやっぱり
蠍座がすき
自分の星座
って感じがするから
蠍座の女
なんて
有名な曲もあるし
そう 私は
蠍座の女
作品No.187【2024/10/04 テーマ:踊りませんか?】
彼が私に手を差し伸べるのを、私はただ眺めていた。
「何のつもりですか」
抑揚のない低い声で問うたのに、彼は笑顔のままだ。そんな彼が恐ろしくなる。
「酷い言い草だなぁ。きみが蹲ってるのが見えたから、手を貸そうかと思っただけさ。別に下心なんてないよ」
「——そう、ですか」
本当に、下心はないのかもしれない。こうして助けて、それをきっかけに私と恋仲になる——などと、きっと彼は考えていない。そもそも、私などと結ばれることは、彼にとって利点にはならないからだ。ただ、彼はきっと、あの場から逃げ出すために、たまたま目に入った私を助けに来たのだろうと思った。
社交界の主役——であるがゆえに。
「ほら。立てないなら手を貸すよ?」
「お気遣いありがとうございます。ですが、結構です。自分で立てますから」
彼の手を無視して立ち上がる。ここで彼の手を摑むのも、摑まないのも、どちらもまた私の評判を落とすだけだ。けれど、どうせ同じ評価なら摑まない方がいい。触れない方が、よほどいい。
「さすがは、冷徹の姫君だ」
彼が、笑いながらそう言った。
【冷徹の姫君】——私の通り名だ。社交界ですら、笑顔を見せない、にこやかに会話もしない、踊ることもしない——そんな私に付いた名だ。蔑称、といってもいいかもしれない。
「その呼び方は嫌いです」
「それは失礼。僕はかっこいいと思ったのだが、呼ばれる本人がそう言うなら、今後はやめるよ」
笑顔を絶やさない彼は、なぜか私の近くを離れない。助ける必要は最早なくなったのだから、早くいるべき場所に戻ればいいのに、そうせずに私の後ろをついてくる。
「戻ったらどうです?」
しびれを切らしてそう言うと、
「きみを見送ったら戻るよ。怪我をしているかもしれない姫君を一人にするなんて、僕の美学に反するからね」
と、何食わぬ顔で言う彼である。そんな美学、私に適用しないでほしいと思ったが、言わずに飲み込んだ。
「まぁでも——」
後ろの足音が止む。私も思わず足を止めて、振り返った。
「きみが迷惑なら、僕にこれ以上近くにいてほしくないと思うなら、戻るとするよ」
笑顔のままの彼の言葉が、なぜかひどく胸に刺さった。
「ああ、でも、戻る前に一つだけ」
彼はそう言って、私に歩み寄ってきた。そして、耳元に顔を近付ける。
「次にお会いするときは、ぜひ僕と一曲踊りませんか?」
そんな言葉を残して、彼は私から背を向けた。そのまま元来た道をゆっくりと引き返していく。
何事も、なかったかのように。
「ダンスのお誘い——か」
思わず独り言が口をついた。そうして、心が揺れている自分に気が付いてしまった。
私の足は帰ることを忘れて、彼が戻って行った道をいつまでも見つめていた。
作品No.186【2024/10/03 テーマ:巡り会えたら】
もしも巡り会えたら
私は多分
迷うことなくお迎えするんだろう
すきなモノとの出会いは
一期一会だから
作品No.185【2024/10/02 テーマ:奇跡をもう一度】
奇跡 なんて
そうそう起きるものじゃない
たまたま上手く弾けただけ
たまたま指が滑らかに動けただけ
だから
「もう一回」なんて言わないで
あの奇跡はもう一度
起きるものではないのだから