2/9/2025, 1:11:44 AM
⚠️交通事故表現、流血表現あり
《遠く》
汗を掻いてだらだら二人で歩く学校帰り。
家への帰り道にポツンと立つ昔ながらの駄菓子屋さん。
そこにいるお婆ちゃんに声をかけて、二つアイスを買う。
いつもの日課。
でも、そんなしあわせももう遙か遠く。
当たり前の日常だと思っていたそれは簡単に崩れ落ちる、泡沫のようなものだった。
自分の当たり前だった日常の名残の微睡の夢を醒させたのは、いつもの駄菓子屋のお婆ちゃんの一言。
「そんな2つも欲張ったらお腹壊しちまうよ」
自分の隣にいた幼馴染は消え失せた。
いや、元々いなかった。
頭のなかに車のブレーキ音が響いて離れない。
そして思い出したのは、車に轢かれた血に濡れた幼馴染。
7/19/2024, 11:02:59 PM
《視線の先には》
今日は、幼馴染と買い物に来ている。
あまり表に感情を出すのが苦手な幼馴染に対しては、
こちらが察して動くことが大切だ。
随分長い付き合いである幼馴染の意図を察することは
俺にとっては朝飯前。
時々意味が分からない仕草はあるが、
97パーセントくらいは察知できる。
すると突然、幼馴染の目が星が散ったように煌めいた。
その視線の先には、猫カフェの可愛い猫の写真。
幼馴染は猫が好きだ。
よく意外に思われたりしているから本人は隠しているし、自分以外は知らないだろうけど。
幼馴染は自分にも隠しているつもりだから、
こちらも知らないフリをしている。
今日はこれから猫カフェに行くことにしよう。
「なぁ、ちょっと暑いからここで涼んでいかね?」
と猫カフェを指差した。
幼馴染は頷く。
でも、その目は抑えきれないほどきらきら輝いていた。