まる猫

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7/4/2023, 12:48:26 PM

 “神頼みかい?”

 僕にとって一世一代の大勝負

 試験に受かるよう一生懸命お参りしている僕の横に

 それは現れた

 ニヤニヤ顔でこちらを見ている

 僕は不審な顔でそれを見た

 それの眼はどこか不思議で

 思わず吸い込まれそうになり

 慌てて眼を逸らした

 “神様は未来がわかると思うかい?”

 “もし分かったとしても、きっとそれを伝える術は”

 “持ってないんだよ”

 分かっている

 自分でも理解している

 けれども、最後にどうしても縋ってしまうのだ

 大丈夫と思っても

 どうしても頼まずにはいられない

 そんな僕の思いを読んだかのように

 それは言った

 “君の願い叶うと良いね”


           『神様だけが知っている』より

7/3/2023, 12:17:48 PM

 初めて来る場所

 初めて通る道

 どこを見ても

 見覚えのない景色

 ここはどこだろう

 カーナビを見るも

 目的地は目の前にあるトンネルの先を指している

 なんだろう

 このホラー的な状況は

 私生きて帰れるよね

 後ろを見ても誰もいない

 私は手に汗握りながら

 アクセルを踏みこんだ

               『この道の先に』より

7/3/2023, 11:59:26 AM

 “え、うそでしょ、、、”

 この日は朝から土砂降りで
 
 予報では1日中雨だと言っていた

 なのに

 帰宅時会社を出ると

 ギラギラと太陽が輝いていた

 濡れていたはずのアスファルトも乾いており

 蒸発した水分によりむわっと熱気が上がってくる

 目の前を子どもたちがはしゃぎながら駆けていった

 何があんなに楽しいんだろうか、、、

 ついそう思ってしまう自分に嫌気がさす

 子どもたちは太陽をものともせず

 所々に残っている水たまりの上をジャンプしている

 羨ましい、、、

 今日は雨だからと思って

 日傘も日焼け止めクリームも何も持ってきていない

 この日差しのなか

 30分も歩いて帰らないといけないなんて

 考えるだけで憂鬱となる

 どんどん遠ざかっていく子どもたちの声を聞きながら

 私は意を決して足を踏み出した

                  『日差し』より

6/23/2023, 12:53:48 PM

 幼い頃は

 大人になれば

 綺麗な字が書ける

 素敵な人と結婚して

 子どもを産んで

 幸せに暮らすことができる

 大人になれば

 なんでもできる

 って考えてた

 でも、現実は甘くないよね

 綺麗な字を書きたければ

 それだけ練習しないといけないし

 素敵な人を見つけるには

 自分磨きもしないといけない

 何ひとつ苦労せずには得られない

 あぁ

 あの頃の無垢な時代に戻りたい

                『子供の頃は』より

6/22/2023, 1:10:57 PM

 “あぁ、退屈だ”

 “何か面白いことないかな?”

 TVでは暗いニュースばかり

 それを他人事のように流し観る

 変わらない毎日

 変わらないルーティン

 いつもぐるぐる同じところを回っている

 “あぁ、つまらないな”

 飲みかけの冷えたコーヒー

 出しっぱなしの洗濯物

 いつもの朝の1コマ

 それが日常

 これが日常

                   『日常』より

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