まる猫

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3/7/2023, 11:03:37 PM

 こんばんわ

 今日は綺麗な満月だね

 この満月のことをなんて言うか君は知っているかい?

 今日の満月のことを“ワームムーン”っていうんだよ

 え??可愛くない?

 そうだよね

 他の月と違って“いもむしの月”って可愛くないよね??

 昔の人は雪が溶けて土から虫が出てくる様子を

 みてその名前をつけたんだって

 何か思い出すことはない??

 日本にも似たような言葉があるよね?

 そう、“啓蟄(けいちつ)”

 日本人も昔その様子を見てこの名前をつけたんだって

 遠く離れていて言語も思想も違うのに、同じ月の時に

 同じことを思っていたなんて、なんだか不思議だよね

 ふふふ、変な顔になってるよ

 さてと、今夜のお話はここでお終い

 また次も出会えるといいね

                   『月夜』より

3/6/2023, 10:00:38 AM

 たまには息抜きしてもいいんじゃないかな

 たまには自分がしたいことを思いっきりしても

 いいんじゃないかな

 たまには他人の視線なんて気にしなくてもいいんじゃ

 ないかな

 たまには、、、たまには、、、

 だって人生は一度しかないもの

 月日は巡ってくるけど、この時間(とき)は

 二度と戻ってこないんだもの

 長いようで短いこの人生

 たまには思うまま動いてみるのもいいんじゃない??

                 『たまには』より

3/3/2023, 9:47:29 AM

 “拝啓 今はどこにいるかも分からない貴方様”

 “お元気ですか?”

 “元気と書くと変な感じですね”

 “貴方様方が私たちのために身を挺して守って頂いて

 いるおかげで、私たち家族は皆健やかに過ごしており
 
 ます”

 “あの子ももう一歳になりました”

 “貴方様がいない間にすくすく育っております”

 “こちらに戻って来られる頃には歩いているかも

 しれませんよ”



 “今はどちらにおられるのでしょうか”

 “戦争が激しくなっているとお聞きしております”

 “お国のために戦う貴方様をとても誇りに思って

 おります”

 “しかし、私の願いはどうか貴方様が無事に帰って

 来られるよう、ただただ毎日お祈りしております”

 “今はどこにいるかも分からない貴方様”

 “貴方様が帰ってくる場所は変わらず貴方様を待って

 おります”

 “いつまでも いつまでも待っております”

 “かしこ”

 そう文をしたためて、行き場のないその手紙を私は

 ぎゅっと胸に押しつけた

             『たった一つの希望』より

3/2/2023, 9:20:16 AM

 “あ〜 本当にツイてない”

 君は僕の隣でそう呟いた

 君はいつも僕の隣でないものねだりを言う

 君は僕よりも恵まれた環境にいると思うけど

 それでも君はいつも“もっと もっと”と言う

 僕にはその感情が分からない

 たまに他の人が僕の隣に座り 似たような言葉を呟く

 ことがある

 そんな君たちの話を僕はじっと聞いている

 君たちは僕が知らない世界をたくさん知っていて

 そしてまだ知らない世界に恋している

 僕は君たちが言う“欲望”とはそういう事だと感じる

 “ね〜ね〜 聞いてる??猫ちゃん??”

 君は僕を撫でながら話し続けている

 僕と君たちの違いはきっとそこにある

 “欲望”は悪い事だと言う人もいるけど、僕たちにとっ

 てはそれが人間なんだと思う

 果てしない“欲望”の中を生きているからこそ

 彼らはどんどん世界を変えていく

 それが良いことなのか悪いことなのか難しいことは分

 からない

 ただ僕が分かるのは

 そんな君たちの話を聞くのは嫌いではないということ

                   『欲望』より

2/28/2023, 3:44:04 AM


 “春一番だね〜”
 
 彼女はガードパイプに腰掛けて、川を眺めながら言っ
 た

 “あ、花びら落ちてきたよ”

 私は雪のように降ってくる花びらに手を翳した

 花びらはまるで舞うようにひらひらと私の手をすり抜
 けていく

 “む、取れない、、、”

 “あはは‼︎あれでしょっ?落ちる前に花びらをキャッチ

 できれば願いが叶うとかなんとか?”

 彼女はこっちを見ながら笑っていた

 私はぷくっと頬を膨らませて彼女を見た

 “でも、本当に今日は良い天気ね”

 また川を見た彼女につられて私も同じ方向を見た

 “本当だね”
 
 2人の髪を風が撫ぜるように吹いている

 あぁなんて本当にのどかなんだ

 遠くで声が聞こえる

 “ずっとこんな日が続けばいいね”

 そういう彼女の目は寂しさに滲んでいた

 私はただ頷いた

 声がだんだんと近づいてくる

 私たちの間にまた風が通り抜けた
 
 私たちはもう一度お互いの顔を見て

 そして













 猛ダッシュした

 走った
 
 私たちはとにかく走った

 “待て‼︎‼︎逃げるな‼︎

 私の、、、私の限定品のドーナツ食べたでしょ〜‼︎‼︎”

 悲痛な声がこだまする

 鬼の形相で追いかけてくる友達であろうその人から
 私たちは必死に逃げた

 あぁ、神さまどうか、この陽気で友達の怒りが少しで
 も静まりますように、、、


                 『現実逃避』より

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