『さあ行こう』
今の現状が変わるのが怖くて不安で、はじめの一歩がなかなか踏み出せない。
のしかかるのは、大きな不安と、焦燥。
このままでいいのか?と自分に問いかける。
より良い未来へ突き進むのも自分次第。
今の現状から抜け出せるのかも自分次第。
さあ行こう。
素敵な未来を信じて。
『水たまりに映る空』
雨上がり。
前日の空とはうってかわって、とてもキラキラ光っている青空。
雲ひとつない青空に、心も晴れ渡る。
「行ってきまーす!」
元気な声が響き渡る。
元気な足音と、キラキラ輝く響く声。
道路の所々にある水たまりにも元気な小学生とキラキラ輝く眩しい青空が広がっている。
さぁ、新しい今日が始まるよ。
『恋か、愛か、それとも』
小さい頃からずっと一緒だった。嬉しいことも悲しいことも、楽しいことも辛ことも、あなたがいたから乗り越えられた。私にとって、あなたは全てで、あなたが居ないと行きの仕方さえわからなくなるの。
初めは恋だと思っていた。それはあなたも同じ気持ちだと。
幼なじみから恋人にかわって、手のつなぎ方も、歩く歩幅も変化した。幸せだった。
ずっと一緒にいられると思ってた。いつしかあなたを愛するようになった。全てが愛おしくて、せつなくてつらい。当然、あなたも同じ気持ちだと思っていた。
あの日までは。
あの日は、太陽が眩しいいい日だった。いつものようにあなたが待っている場所まで向かう。心も足も浮き足立つ。
あなたの後ろ姿。それさえも愛おしい。
後ろから抱きつこうとして気づいた。
あなたは私以外の人に、私が1番欲しい眼差しを向けていた。
今まで私にずっと向けられていたものが、いつしか、私のものじゃなくなっていた。
バラバラと小さい頃からの関係が崩れていく。
バランスが保てない。
あなたが離れていく恐怖。
あなたに嫌われるかもしれない恐怖。
その恐怖に目をつぶって、後ろからあなたを抱きしめる。
一瞬強ばる背中が、切ない。
でもごめんね。
あなたを手放せない。
これは恋なのか、愛なのか、それとも別の何かなのか、、、。
今の私にはわからない。
でも、あなたを解放してあげられない私を許して、、、。
『約束だよ』
小さい頃、隣の家の小さな男の子が遠くに引っ越すのに挨拶に来てくれた。
その子は可愛い顔をくしゃくしゃにして目になみだをいっぱい溜めていた。
「また、あえるよね、、、?」
涙声でそう言う少年に、小指と小指をからめて、また会おうと約束をした。
あれからどれくらい月日が流れたのだろうか、久しぶりに、あの日の夢を見た。
涙を溜めていたあの少年は元気にしているのだろうか?
ふとそんなことを思い出しながら、カーテンを開け、空気の入れ替えのために窓を開ける。
「やっと、会えた!」
突然聞こえた声に、目が覚める。
窓から下をのぞくと、爽やかな黒髪の青年がニコニコと、これまた爽やかな笑顔でこちらを見ている。
誰だろう、、、と記憶を巡らせる。
「また会おう、って約束だったでしょ?」
にこりと満面の笑みを浮かべる青年に、あの日の少年が重なる。
-「また、あえるよね、、、?」
-「うん、また会おうね」
-「約束だよ!」
-「うん、約束ね。指切りしよっか」
-「うん、ゆびきりする!」
また会おうと約束をして指切りをしたあとの笑顔と同じ笑顔が、懐かしさと嬉しさを溢れさせていた。
『傘の中の秘密』
雨の日が好き。黒くて大きな傘の中に隠れたあの人に会えるから。
その傘に隠された顔と表情を見ると幸せになる。
いつもは見せない、照れた表情に自然と笑みがこぼれる。
私を見る優しい眼差しが好き。
ゴツゴツとした手で私のほほを撫でる。
気持ちよくて自然に目を閉じる。
黒くて大きな傘に隠されて、そっとキスをおとされる。
雨の日の特権。
幸せな秘密の時間。