「また会いましょう。」
あいつはそう言って姿を消した。
「また会いましょうって言ったかあいつ!!
こっちは会いたくないってあんな奴に」
「まぁまぁ落ち着いてアルト。」
「カイト、だってあいつ
出会ってすぐ攻撃してきたんだぞ!!」
「仕方ないってアルト。
こんな世界じゃありえない話じゃないよ。」
俺はスマホを出して調べる。
あいつは他の奴らと桁違いに強かった。
俺たちを倒さずに消えていったあいつは誰だ?
なんで情報がない。
他の人はあいつに出会わないのか?
信じられない。
また会うなんてこともう考えたくなかった。
「おーいカイト。あっちに店があるぞ!!
飯食いに行こうぜ!!」
うるさいくらいに響くアルトの呼び掛けに
返事をして俺たちは歩き始めた。
また会いましょうっと言ったアイツに勝つために
─────『また会いましょう』
非日常を味わうために
遊園地へ来た。
そこはわかる。
非日常のスリルを味わえるのは
ジェットコースターだと言うのもわかる。
でもそれを一緒に乗る神経が分からない。
僕はジェットコースターは嫌いだって言ってたのに!!
もう降りられない。
絶望的な顔をして一気に急降下。
普段出さない悲鳴も誰よりもでかい声を出した。
今日だけで君を少し嫌いになったよ。
もうジェットコースターは懲り懲りだ。
─────『スリル』
飛べない翼を持つ僕は
いつまでたっても動けない。
「他人と比べて落ち込むくらいなら
比べない方が良いよ。」と君は言う。
その通りだ。
でもそれを自覚してもなお僕は怖かった。
飛べない自分も
友達が離れていくかもしれないという不安も
どっちも怖かった。
「いつかは飛べるから一緒に練習に行こう」
君はいつだって優しかった。
僕はきっとこれからも君の言葉で救われると思う。
いつか絶対飛んでみせるから
─────『飛べない翼』
ススキが夕日に照らされるのが
綺麗で写真を撮る。
こんな写真も君に送ってもいいのかな?
─────『ススキ』
息が上がる。
肩が上下に激しく動く。
手から滴る赤い液。
気づいた時には
赤い水溜まりが出来ていた。
鼻が鉄臭い。
頭がおかしくなりそうだ。
俺はその場から逃げ出した。
脳裏に焼き付くのは
死を覚悟したあの人の最期の顔。
清々した気持ちも
やってしまったという気持ちも
全ていっぱいいっぱいで
「ハハッ」
笑いが止まらない。
あぁこれからどうしよう。
もう1人ヤッてしまうか。
この俺がお前の最期を見るとは
アァほんとオモシロい。
─────『脳裏』