また巡り会えたら私は嬉しいけど
君は違うみたいだった。
あなたは誰かを想ってるようだった。
それが誰かは分からないけど
その方と君が巡り会えたら
いつか私を見てくれるかな。
─────『巡り会えたら』
小さい頃は蛇口から出る水が奇跡だと思った。
だって7色の虹が見えたから。
少し経ってからそれが
奇跡じゃないことを知った。
それでも自分は奇跡と呼んだ。
20年後自分にも
子供が産まれた。
そして君は言ったんだ。
蛇口からの水は奇跡って
君と奇跡をもう一度起こそう
─────『奇跡をもう一度』
黄昏時に見る制服を着た高校生は
自分には眩しいと思った。
現在アルバイト募集の情報を見ながら
コンビニでエナジードリンクを買い込む
自分とは正反対で息が苦しくなる。
アルバイト募集を一通り眺めたあとは
パソコンに向かいひたすらゲーム。
落ち込んだ自分の心を溶かすように
ゲームは自分に寄り添ってくれると思っているのは
もう廃人の1歩手間なのかもしれない。
お金がない
↓
働かないと
↓
でもこんな自分が上手く働けるわけが無い
めんどくさい
↓
ゲームをしよう
毎日この繰り返し
早く変わらないといけないな
─────『たそがれ』
いつか君が僕を忘れてしまうその日まで
毎日この時間に病室に行くよ。
最近は僕を思い出せないでしょ。
わかってたはずなのにさ、
なんだか悲しくなって
1人で泣いた。
きっと明日も僕を忘れた君が居る。
それでも僕は君に会いに行くよ。
─────『きっと明日も』
そこに彼女は居た。
「もう帰るよ」
僕がそう言うと彼女はいつもこう言う。
「まだマスターを見つけていません」
「うんまた明日来よう。」
静寂に包まれた施設の一室に
今日と変わらない姿で
立っていた彼女を見たのはもう15年も前だった。
「本当にマスターは居るの?」
「マスターは誰?」
「なんでマスターを待っているの?」
いろいろ聞きたいこともある。
でももう見たくないと思ったんだ。
静寂に包まれた部屋で立つ彼女は今よりずっと
消えてしまいそうだったから
─────『静寂に包まれた部屋』