心の健康もひと目でわかるようになれば
私は彼女を失うこともなかったのにな
─────『心の健康』
君の奏でる音楽のファン一号になるよ
そう言っていたのはいつだったのか。
彼女は素晴らしい演奏家になっていた。
あの頃とは変わらない優しい音色に
昔とは違う力強さを感じる音が
彼女の音楽に誰もが耳を傾けた。
もっと聞かせて
いつまでもファン一号を名乗らせて
─────『君の奏でる音楽』
麦わら帽子をかぶる君が
なんだか遠くに居るように見えた。
手の届く距離に居るはずなのに
彼女の目線の先には
彼が居る。
こんなに近くに居るのに
今はその距離が辛くなってくる。
君は僕を好きになってくれないのに
君の恋がどうか実りますように
麦わら帽子の似合う君にはずっと笑って欲しいから
─────『麦わら帽子』
いつまでも止まらない電車に乗っていた。
ぼーっと正面を見つめて
向かいの電車の窓を眺めてた。
なんでかいつからここに居たのかもう分からない。
もうどうでもよかった。
自分の頑張りと結果が追いつかないし
すぐに上手くなれる訳じゃなくて
勢いで家を出た自分に
両親はいい思いはしていないような気がして
実家にも帰れない。
だからこそ自分の避難場所が
欲しかったのかもしれない。
この電車にはきっと自分と同じ
避難場所を探す人達が集まっているのかもしれない。
ただそこに乗り合わせた人として
独り言のような会話して
去っていく。
途中で降りていく人もいれば
降りていかない人もいる。
ここに駅なんてなかったはずなのに
降りていくひとはみんな
嬉しそうな安心した顔をして降りていく。
自分にもそんな駅があるのだろうか
終点のない電車に乗って
今日も景色を眺めてる
─────『終点』
上手くいかなくたっていい
最初から上手くなれるような人じゃないから
少しずつ少しずつ
成長出来たらいいなって思う。
上手くいかなくたっていい
次はきっと上手くいくから
─────『上手くいかなくたっていい』