ねえ,もう終わりにしようよ。
そう言った彼女の声は震えていた。
彼女の声を聞いて誰も手を止めて居なかった
私を除いて。
やっぱここにいる人は皆壊れているの。
ヤバいことやってんのにね。
もう機械みたいじゃんね。
ねえ,2人だけでもここから逃げる?
終わりにしようよこんなこと。
─────『終わりにしよう』
家族なんだから
手を取り合って支え合って
生きていこうよ。
僕はそうやって生きていきたい。
─────『手を取り合って』
君が持つ劣等感も優越感も僕は知りたい。
そして僕が持つ劣等感も優越感も知って欲しい。
そうやってお互いを分かりかって
支え合っていけたらいいと
僕は思うんだ。
君もそう思ってくれたなら
それはとても幸せだと思う。
─────『優越感、劣等感』
「殺人犯になってくれない」
これまでずっと平凡に生きてきた。
こんな言葉を聞くことになるなんて
思いもしていなかった。
どういうことなんだろうと僕は黙っていた。
「ずっと黙ってたんだけどもういいよね。
俺人殺しててそれの代わりになってくんない?」
分からなかった。
僕に頼む理由もそれを告白する理由も。
彼がなんの感情ものせずに言った言葉に
怖くなった。
「これまでずっと我慢してたんだけど
やらかしちゃって──」
彼がおふざけの延長戦みたいな感じで話し出すから
夢を見ているようだった。
こんな話を聞いたからには
警察に話したら殺されるかもしれないし、
そうじゃなくても
今までの生活を送れる訳じゃないと思った。
でもなんで僕なんだとも思った。
これまでずっと
人の意見に流されて生きているような人間だったたけど
さすがに殺人犯の代わりなんてしたくない。
でもこれからずっと
この言葉が頭から離れないんだと思う
─────『これまでずっと』
捜査なんて簡単な事じゃない。
私はまだまだひよっこの新人で
足りていないところが多すぎて
空回りしてしまうこともある。
でも今日は絶対に失敗したくない。
昨日の先輩からの1件のLINEが
頑張ろうとさせてくれたから
できることから
頑張っていきたい
─────『1件のLINE』