「で...できた!!」
自分のすぐ横でそんな言葉が聞こえた。
「君はアンドロイドだよ。
名前は...そうだなーアスにする。」
すこし目を大きくしている彼は私をアスと呼ぶ。
「わかりました。」
彼は私に笑顔を求めた。
「すみません。笑顔がインストールされていません。インストールしますか?」
そう言うと彼はハッとしていた。
「動くだけで感情とかのプログラムはやっていなかったかもな...」
彼は毎日今日あったことを話してくる。
嬉しかったこと悲しかったこと
それはすべてアスには理解出来ていない。
だって、全て素人の彼が作ったのだから。
アスは毎日自分自身に問う。
where is my heart?
(私の心がどこにあるのか?)
彼の気持ちを理解できるまで
答えは出せないのだろう
─────『My Heart』
彼女にあるものが欲しい
私のないもの
愛されたいな
あの子みたいに
─────『ないものねだり』
両親が離婚した。
私は父に育てられることにした。
母が私の元を去っていく様子を
眺めていたのを覚えてる。
そこになんの感情も持っていなかった。
父は毎日料理を作ってくれている。
たまに私に言う,
これ好きだったでしょの言葉。
好きじゃない食べ物のことはあるけど
私の事を理解しようと
前までしていない料理をしてくれているのが
嬉しくなっていた。
全然好きじゃないのに
好きだと思って作ってくれるのが
優しいなって感じる。
いつもありがとうお父さん
─────『好きじゃないのに』
「今日もところにより雨なんだって
ねぇ知ってる?
最近の噂話
雨降る深夜人がさらわれるって
しかも若い女の人だけが居なくなるんだって」
「そんなのただの噂話でしょ?
それなら外に出なければいいじゃん。」
「そう思うじゃん。
隣のクラスの子から聞いたんだけど
そのさらわれた女の人は何かに導かれるように
外に出たんだって」
「へぇー怖いね」
本当にそれ思ってるなんて声をバックに私は考えていた。
なんで警察は動いてないのか、なんで雨の日なのか
よく分からないことがあると思った。
「ねぇこれ私たち2人で調べてみない?」
私がそういうと彼女は元気よく頷いた。
これからどういう未来が待っているかも
知らないまま
─────『ところにより雨』
ヒーローになりたい。
テレビに映るヒーローを寝転びながら見て思う。
初っ端からやる気ないと思われても仕方ない。
私は今何にもなりたくないのだから。
私はの夢は不労所得。
そんなのダメだって知ってるから
今悩んでる最中なのだ。
みんなは言う。
将来やりたいことは好きなもの興味あることから
考えていけばいいんじゃないか。
そんなの出来てたらとっくの昔に決まってんの。
口には出さないけど、何度こう思ったことか。
急な話だが、ヒーローというものはいい。
誰かにとって特別な存在になれるのだから。
誰かが支持してくれて好きになってくれて
その支持が私の力になるっていうことは
自分の価値を感じられていいなーって思う。
こう思うってことは、
つまり私も誰かの特別な存在になりたい。
そう思っているのだと思う。
頭の隅にある配信者という言葉。
簡単にできたら、本当に楽だろうなって思ってる。
しかし自分に強みがない、
誰も私という存在を見つけてくれないと思う。
特別な存在になるのは難しいかもしれない。
まあ、これは全て想像によるものだから
やってみないと分からないけれど
特別な存在になるために、
私は何をすればいいのだろうか。
────『特別な存在』