彼女に別れを告げようって
最近その事ばかり考えていた。
自分の不調に気づいたのは本当に最近で
「病院に行って来た方がいいんじゃない?心配だよ。私。」
そんな言葉を彼女はかけてくれた。
俺の事を第一に考えてくれる彼女は
「一緒に着いていこうか?」など優しい声をかけてくれた。
「そんなに心配しないで大丈夫。ありがとう。」
なんて言って
雲ひとつもない晴天のあの日俺は病院に行った。
医師から告げられた言葉は信じられなかった。
「...膵臓癌?」信じられない余命宣告までされた。
彼女に言うべきだろうか...。
その夜電話で
「どうだった?結果大丈夫だった?」優しい声が耳元で聞こえる。あぁ言わないと...。
「あぁ...うん。......ただの風邪だった。」
「風邪か良かった。大きい病気じゃなくて。でもこれからも気をつけてね。」
「もう遅くなっちゃったね。風邪早く治りますように。おやすみ。」
「うん...。おやすみ。またね」
電話を終えて時計を見たら24時を指していた。
いえなかった...余命宣告されたこと。
宣告されてからずっと考えていた。
俺は彼女に別れを告げることにした。
優しい彼女はずっと俺を思って恋愛に億劫になってしまうから。
俺に縛られて欲しくなかったから。
いや...優しい彼女がそばに居ると俺が辛くなってしまうから。
でも最後に直接伝えたかった。
最後のLINE「今夜あの公園で会おう」
...もう決めたんだ。
「別れよう。」
冷たい声突き放すように言った。
「他に好きな人ができたんだ。」
嘘をついた。最初で最後の嘘を
今は彼女の前から消えたくて,涙を見せたくなくて,
知らない街に行こうかなんて気を紛らわせて
「...大好きでした。」
一言暗がりの中で消えていった。
これはもうひとつの物語
─────『もうひとつの物語』
朝起きると彼LINEがきていた
「今夜あの公園で会おう」
「うん!」
あの公園は私と彼が初めてあった特別な公園だ。
今日は彼に会えるからメイクも気合を入れたのに
「別れよう。」そんな冷たい声が暗い公園で響いた。
「なんで?別れたくないよ。」
「ごめん。好きな人ができたんだ。」
「あぁ...そっか。」
「まぁ別れても友達だから。それじゃ」
そう言って彼は去っていった。
その方向ってあなたの家の方向じゃないよね?
まさか好きな人の家に行くの?
そんなことを思っていたら涙が頬を伝った。
彼には私の思い伝わってなかったのかな?
私の何が悪かったんだろ?
彼のことを考えていたら,
気づいた頃には24時を回っていた。
「好きだったよ...今までありがとう...。」
そんな声は暗がりの中に消えていった。
─────『暗がりの中で』