上手くいかなくたっていい
いつだって、人前に出るのは怖かった
何かをしようとするのは、不安だった
どうせできない
私は駄目な人間だから
そう言い訳をして何もかも諦めて
逃げてばかりいた
そんな私の手を引いて
背中を押してくれた君がいた
上手くいかなくたっていい
一緒にやろうよ
そう言って、君は私の前に立ってくれた
そうして、私の世界は広がったんだ
蝶よ花よ
可愛いものは愛でたくなる
青みがかった蝶、小さな白い花
そして君
籠の中に入れて、窓辺に飾って
毎日静かに眺めていたい
君はただ、そこに居てくれればいい
可愛いものはいつか終わりを迎える
力尽きて動かなくなった蝶
枯れてしおれた話
その時が来たら
僕たちも終わりを迎えよう
残されるのは
空っぽになった籠と花瓶
誰もいない窓辺で
ただただ陽の光に照らされている
最初から決まってた
静かに、しかし毅然と歩いた
どんなに抵抗しても足掻いてみても
この運命は変えられなかった
だからせめてみっともない姿は
さらしたくない
誰の手も煩わさせず
強制もされず
ただまっすぐと歩く
光り輝く刃の元へ段を登る
決してプライドだけは失わない
美しいまま散っていく
これが最初から決まってた運命への
精一杯の抗いだった
太陽
陽の光に誘われて
眩しさに手をかざす
暖かな光が活力を与えてくれる
太陽はいつだって
暖かくて眩しいけれど
恋しい時とそうじゃない時がある
ジリジリと照りつける日差し
アスファルトがゆらゆらと動く
最近の太陽は暑すぎる
もう少しお手柔らかにお願いします
鐘の音
遠くから、鐘の音が聞こえてくる
それは祝福の音だろうか
別れの音だろうか
この音のもとに
誰が集い、願い、祈りを捧げるのだろうか
鐘の音は鳴り続けている
人々の想いを乗せて
旅人はその方角に視線を向けて
穏やかに微笑んで
顔を伏せて、背を向ける
鳴り続ける鐘の音から逃げるように
足早にその場を立ち去った