澄んだ瞳
君はまっすぐに僕を見つめてくる
一点の曇りもない無垢な澄んだ瞳で
僕は見透かされている気がして
君を見ることができない
君の綺麗な瞳の中に
僕なんかを映してほしくない
僕は悪い人間なんだ
君に邪な想いを抱いている
だけど
そんな僕の想いなんか気付いていないのか
気付いていないふりをしているのか
君はいつも無邪気に僕を見つめてくる
嵐が来ようとも
天気予報による知らせに
急ピッチで対処に追われる
外に出ている物は中に仕舞い
窓が割れぬよう木を打ちつける
不安そうにその様子を見つめる
幼い姉妹の頭を撫でて
奥の部屋に行くように促す
今まで経験したことのない
大きな嵐が来るらしい
今は風は凪いでいて
そんなこと信じられない気持ちもある
だけど万全にしておかなければ
家族のことは
自分が守らなければならないのだから
お祭り
遠くからお囃子の音が聞こえる
今日はどうやら年に一度の
大きなお祭りの日らしい
お囃子に惹かれて外に出れば
山車が練り歩いているだろうし
ちょっと歩いた先の公園では
出店が軒を連ねているだろう
まぁ、独り身の自分には関係ない
一緒に祭りに繰り出す友人もいないし
そもそも人混みは苦手だ
だけど
今日の夜は焼きそばにでもしようかな
ついつい気持ちが浮かれてしまう
そんな自分もまた、存在している
神様が舞い降りてきて、こう言った。
君はまだ、ここに来るのは早い。
私は無知だったからその意味がわからなかった
私は無能だったからその言葉に混乱した
私は、ここでも必要とされていないのか
だけど全てが終わった今ならわかる
神様は全て知っていた
私が生きなければならなかった意味
私にも人のためになる才があったこと
だから再び舞い降りてきた神様に
私は微笑みかけた
あの時はありがとう
今こそ、貴方の元に行きます
誰かのためになるならば
清めた身体に綺麗な着物を着せてもらう
少し頭はぼんやりしていて
上手く表情を作ることはできないけれど
私は幸せだった
両親はすでに他界していて
私自身の器量は全く良くなくて
村の人々に迷惑をかけてばかりだった
そんな私でも誰かの役に立てることがある
今はそれがたまらなく嬉しい
綺麗な格好をさせてもらって
美味しいご飯を食べさせてもらって
私は満足だった
この籠の中に入れば
もう戻ってくることはないけれど
誰かのためになるならば
それはとても嬉しいことだった