木弓るん

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3/22/2024, 11:40:37 AM

バカみたい

アイツはいつもバカみたいだった
バカみたいに正直で
バカみたいに笑って
いつもバカみたいに私の後ろをついてきた

私は面倒見のいいコだったから
バカみたいなアイツがほっとけなくて
いじめっこにも立ち向かったし
いつも一緒に過ごしていた

だからアイツが少し恥ずかしそうに
私に報告してきた時
初めて気付いてしまったんだ
アイツのこと、ずっと好きだったんだって

バカみたいなのは私の方だった
気持ちが離れて初めて気付くなんて
報告を聞いて冷静に「おめでとう」なんて
言えることもバカみたいだった

誰もいない部屋でひとり
私はバカみたいに泣いた

3/21/2024, 11:08:18 AM

二人ぼっち

どこまでも続く空
木々の間を吹き抜ける風
草むらに寝転がる君と僕

かすかに聞こえる虫の声
風に吹かれて葉のこすれる音
空を見つめる君の息づかい

この世界で今この瞬間
君と僕は二人ぼっち
静かな空間で静かに過ごしている

3/20/2024, 11:48:35 AM

夢が醒める前に

まどろんでいる僕の前に
君が舞い降りる

もう会えるはずのない君に
これは夢なんだと気付かされる

幸せなひとときなのに
なんて残酷なひとときだろう

だけどせめて
この夢が覚める前に
もっと君の姿を脳裏に刻んでおきたい

君のこと、忘れたくない

3/19/2024, 12:24:20 PM

胸が高鳴る

待ち合わせには余裕がある時間なのに
家を飛び出して走る
きちんと整えてきた髪が乱れても
構っている余裕なんてない

君が来るにはまだ早すぎる時間なのに
そわそわと辺りを見渡す
我ながら挙動不審と思うけど
気にしている場合じゃない

もう少しで君に会える
それだけなのに
どうしてこんなに
胸が高鳴るのだろう

3/18/2024, 10:51:21 AM

不条理

とにかく、色々降ってくる日だった
上の住人がうっかりで落とした植木鉢
予定外の急な仕事
予報になかった突然の雨

俺が何をしたというのか

雨を避けるため軒下に入る
そこのお店はもうやっている時間じゃなく
暗く、静かな空間に雨音だけが響いている



雨音を切り裂くような悲鳴が遠くから近づいてきて
天井に張られた布が大きくたわむ
バウンドして落ちてくるのは小柄な女の子だった

どうして!?

とにかく受け止めようと飛び出す
どうやら不条理すぎる一日はまだ終わらないらしい

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