月夜
月が綺麗な夜ですね
え、口説いてるのかって?
いえいえ、そんなわけではなくて
ただただ月が綺麗だと思っただけですよ
こんな綺麗で静かな夜は
ふらりと散歩に行きたくなりますね
よければ君も一緒にどうですか?
やっぱり口説いているのではないかって?
そんなことないですよ
こんな月の綺麗な夜
独り占めするのはもったいないじゃないですか
そうですね
やっぱり、君だから誘っているのかな
いやでも本当に
口説いているわけではないのですよ
絆
僕は君から離れられない
君も僕から離れられないだろうか
君と出会って
何度も言葉を重ねて
絆を深めてきたから
僕はもう君なしでは生きられない
深く結ばれた絆
解くことなんてできないから
たまには
いつも頑張る君
朝から晩まで走り回って
誰に対しても笑顔を見せる
頑張りすぎるくらいに頑張る君
たまには休んでいいんだよ
ゆっくりしたっていいんだよ
そういうの苦手なのかもしれないけれど
僕が付き合うよ
僕は息抜きのプロだから
何もしなくても退屈しないはずだ
たまには休もう
二人でならんでゆっくり過ごそう
大好きな君に
小さなブーケに
片手に納まるラッピング済の小箱
着ている服はおしゃれ着とまではいかないけれど
せめて清潔感には気を配って
待ち合わせの場所に向かう
僕の稼ぎでは立派なレストランなんて
とても予約はできなくて
いつもの安い居酒屋だから
僕が何を伝えようとしているか
気付かないかもしれない
それでも精一杯に伝えるんだ
大好きな君に、誓いの言葉を
ひなまつり
晩御飯の食材を買いに立ち寄ったスーパーで
目に止まったのはお刺身
ちらし寿司のセット、はまぐり、菜の花
ピンク色に彩られたケーキに桜餅
そうか、今日は楽しいひなまつり
一人暮らしのおっさんには縁のない行事
だけど、ついついスーパーのうたい文句に
心が舞い上がってしまう
さすがにお寿司をするほどの余裕はないけれど
小さめのサーモンの柵と桜餅をカゴに入れる
会計を済ませて軽い足取りで帰路につく
一人でも、おっさんでも関係ない
今日は楽しいひなまつり