プレゼント
華やかに彩られた店内に並べられた
色とりどりの雑貨たち
楽しそうな雰囲気につい足が向かっただけ
なのに気が付いたら
君のことを考えている
君に似合う色、君に似合う香り
君の驚く顔、喜ぶ声
別に特別な日だから渡すわけじゃないんだ
ただ、お店でこういうものを取り扱うのが
すごく多い季節だから
目に止まっただけなんだ
人の良い君のこと
こんな季節だから
君も何かを選んでいるのかもしれない
だけど気にしなくてもいいんだ
僕にとっては
君の笑顔が一番のプレゼントなんだから
ゆずの香り
お風呂上がりの君から柔らかな柑橘の香りがした
そうか、今日は冬至か
君と入れ替わりで浴室の戸を開ける
お互い貧乏の同棲生活
広い檜風呂にぷかぷかと浮かぶゆず
なんてことはなくて
足を伸ばすのもやっとの小さなユニットバスに
恐らくは近所のスーパーで買ったであろう
入浴剤が溶けた黄色のお湯が張ってあった
そうはいっても
浸かれば幸せのひとときで
暖かなお湯と優しい香りが
一日の疲れを癒やしてくれる
そうしてお風呂から上がれば
君とお揃いの香りになった僕がいる
大空
人は何故空を見上げるのだろう
嬉しいとき、悲しいとき
誰かを想うとき
大空はただ青く、広く
何もかも包みこんでくれる
青さに飲み込まれ
溶けていきそうだけど
私たちはこの大空に飛び立つこともできず
ただ
空を見上げ
思いを馳せるのみ
ベルの音
遠くからベルの音が聞こえる
何を告げようとしているのか
何を呼んでいるのか
ここからではわからないほど微かな音
その音は遠いけれど澄んでいて
不思議と惹きつけられる
もしかしたら
呼ばれているのは私なのかもしれない
だから私は準備もそこそこに家を出る
ベルの音に導かれて
何かを求めて
雪の降る町を歩き出す
寂しさ
夜空を見上げ息を吐く
いつも賑やかにしているけれど
変わらないフリをしているけれど
急に寂しさがこみ上げてくる
どんなに笑ったって
どんだけ怒ったって
君がいない事実は変わらない
今日も夜空を見上げる
君が好きだと言っていた
冬の星座が瞬いている