木弓るん

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12/8/2023, 2:10:33 PM

ありがとう、ごめんね

いつだって、君が側にいてくれた
こんなことになっても
笑顔で献身的に尽くしてくれた
僕はいつも、そんな君に救われていたんだ
ありがとう、君のことが好きだよ

だけどそれも、もう終わりみたいだ
笑顔だった君が
泣きじゃくりながら僕の名前を呼んでいるのを
ひどく遠くに感じる
ごめんね、僕にはもう何も返せない

薄くなっていく意識の中
ただただ、
ありがとうとごめんねを繰り返していた

12/7/2023, 12:25:37 PM

部屋の片隅で

部屋の片隅で何かが動いている
そいつは楽しそうに
そのへんに転がっている
空き缶をつんつんして遊んで
僕の脱ぎ捨てた靴下に足を取られ転んで
起き上がったと思ったら
不満そうに僕を睨みつける

そいつはいつの間にか僕の部屋にいて
僕の部屋の片隅に住み着いた
何なのかはわからないけれど
小さい人形なので
小人さんとか妖精さんなのかな
だけど
知らない間に部屋が綺麗になったりはしないから
やっぱり小人さんや妖精さんではないのかも

「わかったよ、片付けるよ」

空き缶と
一緒に転がっていたポテチの袋も
まとめてゴミ箱に突っ込む
靴下もTシャツも洗濯機に放り込む
部屋がスッキリして
そいつは嬉しそうに飛び跳ねている

「でも、スッキリしすぎてても何か物足りないな」

ひとまず手近なタオルを折りたたんで
ベッドみたいな形にして部屋の片隅に置いてみる

ふむ

今は百均に行けばミニチュアの色んな物がそろう
明日見に行ってみようか

こいつとの暮らしも段々と楽しくなってきた

12/6/2023, 10:58:39 AM

逆さま

世界が逆さまだった
頭上に川が流れ
足元を見ると木々の間から青空が見える

うむ

逆さまなのは世界ではなく
どうやら自分らしい

登山に出かけた記憶はあるのだが
どうしてこんなことになってしまったのか

幸いにも
足元から自分を呼ぶ声が聞こえる
できる限り声を振り絞って
居場所は伝えた

はてさて
いつまでこの状態が続くのやら

12/5/2023, 11:17:10 AM

眠れないほど

気が付くと、明け方だった
今日も布団の中であれこれ考えていただけだった
どうせこの先も眠りには落ちれない
ぼんやりとしながら布団から出る

ひどい表情だ
とても人には見せられない
いつまでも引きこもっている訳にはいかない
そんなことはわかっているけど
まだ私はここから出ることはできない

あなたを失って嫌になるほど思い知った
こんなにも眠れないほど
あなたは私にとって大きな存在だったのだ

12/4/2023, 10:44:16 AM

夢と現実

僕は勇者だ
弱気を助け、強いものに立ち向かう
僕にできないことはない
みんなが憧れの眼差しで僕を見る
そう
僕は選ばれし勇者

なんて
そんなのはただの夢

僕は弱い
何もできないし、何者にもなれない
僕なんか弱虫で落ちこぼれで
ドジをしては指さされ笑われる
そうさ
僕は弱い道化なんだ

そんな現実
吹き飛ばして夢の世界に行きたい

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