さよならは言わないで
抱きついてきた君を強く抱きしめる
顔を見なくたってわかる
涙が溢れて、止まらなくて
君を泣かせてしまっているという事実に
心が痛む
離れてしまったらもう二度と会えない
君も理解してしまっているのだろう
僕も、否定はできない
逃れるすべはない
だけど認めたくなくて
僕たちはただただ無言で抱き合った
無情に時は過ぎ
どちらともなく身体を離して
振り返って
お互いの道を歩く
最後までその言葉は口にしなかった
言わなければまた会えるのではないか
そんな絶望的な希望を持ってしまったから
光と闇の狭間で
ここはどこだろう
暗いのか、眩しいのか
それすらもわからない場所で
揺れている
今なら選べるのかもしれない
光の世界か、闇の世界か
光の差す場所が暖かいとは限らない
闇に落ちるのが悪いこととは限らない
光溢れる朝が世界に必要なように
安らかな夜の闇もまた、世界に必要だ
ならば
今しばらくは
光と闇の狭間でたゆたうのも悪くない
私の出番はまだまだ先
双方の動向を見守ることとしよう
距離
パソコンの電源入れてクリックすれば
いつでもすぐに君のそば
楽しそうに話す君の声に
相づち打ちながら明日の用意をする
僕たちはこんなに離れているのに
いつも近くに感じる
電車と飛行機を乗り継いで
降り立てば迎えてくれるのは君
久しぶりの君は緊張気味で
僕も緊張して会話が続かない
僕たちはこんなに近くにいるのに
なかなか距離が詰められない
案内されて扉を開ければ君の部屋
君が用意してくれたご飯を食べて
二人で後片付けしたらあとはリラックス
お互い好きなことをしていても
お互いの気配を感じるのが嬉しい
僕たちは離れていても繋がれるけれど
やっぱり近くにいるのが一番いい
泣かないで
もう、泣かないで
僕がそばにいるから
君の気持ち、わかっているつもり
僕だって、悲しいよ
だから君の話はいくらでも聞くし
君の想い、わかり合いたい
もう、泣かないで
君が苦しんでいると
僕も、もっと辛くなってくる
必死に君をなぐさめて
笑わせようとしている僕も
泣きそうになってくる
どのくらい泣いていた?
いつまで泣き続ける?
もはや感情が麻痺するくらい泣き続けたよね
だからそろそろ泣くのは終わりにしよう?
あいつだって
君は笑顔が一番だって言っていたから
冬のはじまり
朝の空気はひんやりと冷たく
吐く息はうっすらと白い
どんなに夏が暑くても
来るべき季節はやってくる
青い空を見上げると
ちらほらと白い結晶が舞い降りる
今年も長い冬がはじまる