木弓るん

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11/28/2023, 11:23:17 AM

終わらせないで

荒野に高々と剣戟の音が響き渡る

色々な因果があって対立することになった俺とお前
だけど今日、全てを終わらせる

撃っては返し、撃っては返し
互角に思えた一騎討ちは唐突に終演を迎える

キィン…!

甲高い音と共に空高く舞い上がるお前の剣
負けを悟ったのかお前はうなだれ
俺の前に膝を付いた

剣を振り上げる
このまま振り下ろせば全て終わる

だが

脳裏をよぎる彼女の顔に
俺は剣を収めた

「まだ終わらせなくないって喚くやつがいるからな」

驚きの表情を浮かべるお前に伝える
お前は納得した風に驚きを収めたが
さみしそうに首を横に振る

仲の良かった幼なじみの三人
このままでも辛いことはわかっているけど

終わらせないで

あの時
俺に背を向けながらも確かに聞こえた声
彼女はまだ諦めていないのだ

11/27/2023, 10:42:02 AM

愛情

あなたのために部屋をぴかぴかにするの
あなたの好きな色でコーディネートして
おしゃれなオブジェも飾ってみちゃう

あなたのために美味しいご飯を用意しているの
あなたが好きなお肉をメインディッシュにして
栄養バランスも考えて沢山作っちゃった

ああ、早く帰ってこないかな
あなたが大好きなの
精一杯の愛情を込めて
あなたのこと、待ってるからね

11/26/2023, 10:58:34 AM

微熱

身体のだるさと喉の乾きで目を覚ます
時刻は五時半
起き出すにはまだ早い時間だが
二度寝すると起きられないような気がする

ふらふらとトイレに行き
冷蔵庫からミネラルウォーターを出し
コップに注いで口をつける
動けない訳では無いが
明らかに調子がおかしい

引き出しから探すのに苦労しながら
ようやく目当ての物を見つけ出す
しばらくこんなこともなかったから
用がなかったのだ

電子音とともに
告げられた数字は37.2
とてつもなく微妙
会社を休むほどの数値ではない

どうしよう

だるい身体をもてあまして
ベッドに身を沈める
そのまま意識が遠のいていって…

結局寝坊して上司からの電話で起きて
その日は休むことになってしまった

11/25/2023, 2:56:16 PM

太陽の下で

地球の環境が過酷になり
人々は地底に居場所を求めた

それがたかだか五十年前の話
爺さんたちはあの頃を懐かしむように
地上の話をするけれど

僕たちは太陽を知らない

眩しく
暖かく
空高く浮かぶ光

僕たちは太陽の下に出たら
何をするだろう?
太陽の下で何をしたい?

叶わぬ願いかもしれないけれど
いつか地上を見てみたい
太陽の下で青い空を見上げてみたい

11/24/2023, 11:02:52 AM

セーター

毛糸を編む
あなたの好きな色の毛糸を
思いを込めて
願いを込めて
編み込んでいく

まだまだ形にならないけれど
何度も失敗して
解いては編み直しているけれど
不思議と嫌にならない

このセーターが完成したら
あなたに届けに行く
私の精一杯の勇気で
私の気持ちを伝える

毛糸を編む
あなたのことを考えながら
いつだって
あなたのことを思っている

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