また会いましょう
澄み切った青空に轟音とともに機体が舞い上がる
突風につばの広い帽子と
フレアのワンピースの裾を押さえて
それでも機体から目を離さない
遠くに旅立つ貴方は
次にいつ帰ってくるかもわからない
簡単に連絡がつかないことも知っている
だけど私は穏やかな気持ちで貴方を見送る
予感めいた確信があるから
いつかはわからないけれど
きっと貴方はまた突然私の前に現れる
だから青い青い大空に向かって伝える
また会いましょうと
スリル
音を立てないよう細心の注意をはらいながら
壁を登り窓の横に張り付き中の様子をうかがう
もちろん手を滑らせて落ちてしまえば
当然怪我では済まないし
誰かに見とがめられてもただでは済まない
一時たりとも気を緩められない状況に
心臓はずっと早鐘を打っている
こんな仕事辞めてしまったほうがいい
そんなことは何度も思ってきた
だけど
この危険と隣り合わせの状況に
得も知れぬ高揚感を感じているのもまた事実なのだ
飛べない翼
君は今日も羽ばたいている
地べたを駆けずり回りながら
それは報われない
叶わない夢
分かっているのかいないのか
君は羽ばたくことをやめない
君が飛べることはないこと
僕は知っていて
見守ることしかできない
だけど
もしかしたら
もしかすると
そんなことを思ってしまう
だって
君は毎日元気だから
君は今日も朝早くから
元気にコケコッコーと跳び回っている
ススキ
線路沿いの道
はしゃぎながら通り抜けていく子供たち
皆手にそれを持ち振り回している
今の時代でもこんな光景が見られるんだな
線路沿いにもさもさと生えたススキが
風を受けて波打っていた
たまらなくノスタルジックな空気に
しばらくその場に立ち尽くしていた
脳裏
いつだって君のことがよぎる
君の泣き顔
引き止めるように僕の服を掴む手
行かないで
危ないことはしないで
私を…ひとりにしないで
叫ぶように懇願する君
そんな顔をしないで
僕の決心が揺らいでしまう
だけど、全ては君のため
君が平和な世界で笑えるために
僕はこの身をかける