向かい合わせ
料理をはさんで向かい側にいる君
いつも隣同士、横に並んで座るから
いざこうして向かい合わせになると
緊張するね
いつもと違って途切れ途切れの会話
お互いの顔が見えるだけで
こんなにも、ドキドキしてしまう
ううん。わかってる
君も気が付いているんだ
僕がこんなお店を選んだ理由
どうしようもなく
僕がそわそわしている理由
せっかくの向かい合わせの席
うつむいてばかりはもったいないよね
後はデザートを待つばかり
頃合いは、きっとちょうどいい
僕は、ポケットに忍ばせた指輪を取り出した
やるせない気持ち
また、守れなかった
動かなくなったそれを前に
俺はただ、項垂れるしかなかった
何度同じことを繰り返すのだろう
戦っても、戦っても、戦っても
守ることができない
俺のせいじゃない
誰か、そう言ってくれるだろうか
それでも
俺はこの気持ちを抱えたまま
また戦いに挑むしかない
海へ
海へ行きませんか
忙しいのは、知っています
だけど、だからこそ
海へ行きませんか
忙しい合間に、のんびりと
会話はなくてもいいんです
貴方が楽しそうなのはわかるから
ゆっくりと、静かに
ふたりで過ごしたいんです
海へ行きましょう
暑い日なら泳いでもいいし
波の音に耳を澄ませてもいい
きっとリフレッシュできる
翌日また頑張るために
今日は海へ行きましょう
裏返し
君が僕を見ている
僕が気付いている君を見ると
君は気まずそうに目をそらす
恥ずかしそうにうつむく君
よそよそしい君の態度は
僕への気持ちの裏返しかな
お互い無言で流れる時間
気まずい?
僕はこの時間も嫌いじゃないかも
何だかどきどきするね
いつまでも沈黙は困るよね
だから僕は口を開こうとして
でも、それよりちょっと早く
意を決したように
君は声を上げたんだ
「シャツが裏返しだよ」
こうして僕の一方的な思いは終わった
鳥のように
踊る
くるくると
両手を空にのばして
飛ぶ
かろやかに
大空に羽ばたく
君の動きは本物の鳥のように
美しく、軽やかで
僕の。みんなの
視線を釘付けにする
儚いのに力強い
鳥のような君だから
僕は推し続けるんだ